「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「駅前旅館をいとおしむー昭和の面影が残る旅の宿」(松尾定行)

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駅前旅館をいとおしむ―昭和の面影が残る旅の宿 (Klasse books)

駅前旅館をいとおしむ―昭和の面影が残る旅の宿 (Klasse books)

 

 昨年、故郷の新潟の松之山温泉の素泊まり旅館「みよしや」に始めて泊まった。広い和室にこたつがひとつ。布団はセルフ。お風呂はもちろん温泉。自炊できる施設があり、テレビは100円を入れる懐かしいタイプ。(笑)いつものビジネス旅館と違って実家に帰ってきたようなホッとしたような気持ちになった。ああ〜!こういう昔ながらの旅館もいいなあ…。一人でくるならこれで十分だ!(・∀・)

 
さてこの本。今は絶滅危惧種となろうとしている駅前旅館のガイドブック。読み進むたびに昭和という時代をあらためて思い起こさせる。その中でもワタシの実家の小田原からほど近い山北町の旅館を紹介しましょう。
 
 
【「旭屋旅館」百十四年にわたって駅を見守ってきた名旅館】
 
足柄上郡山北町山北1836  0465-75-0025 改札口より歩いて約一分
 
昭和48(1973)年に建て替えてた瓦屋根を載せた純和風の木造二階建て。玄関を入ると一階はカーペット式の広いロビーにグランドピアノ一泊二食つき7000円(税込み)より、素泊まり4000円宿泊客がひとりのときと日曜・食事は出ない。
 
女将さんは、昭和18(1943)年生まれ、二十歳のとき旭屋旅館」にお読めに来た。そこころ、釣り人がよく泊まった。山北の谷間を酒匂川の上流が流れている。「鮎が解禁になりますと、お客さんたちの釣り談義で盛り上がったものです。釣れた鮎は私どもで買い取って、田楽にして、夕食にお出しすることもありました。山北の鮎は香りがよくて、食通のあいだで評判だったんですよ。駅弁屋さんが『鮎寿司』を売って、たいへん繁盛したといいます。ロッコを押して駅まで運んでいたそうです」
 
東海道線の汽車で長い旅をする人たちは、山北駅でホームにおりて、後部補機の連結作業が行われるひととき、駅弁の売り子をとり巻いたのだろう。戦前の鉄道省編纂 汽車時刻表』を開くと「弁」のマークがついている。山北が『鉄道の町』として活気にあふれていたころ「旭屋旅館」は料理屋を兼ねていたという。そのころ、芸者をあげての宴会もしばしば行われていたという。
 
駅前旅館は、今や探してみつけ出さなければならない時代になりました。鉄道が圧倒的大多数の日本人の健全な移動手段だったころは、日本国中、急行列車や特急の停まる駅なら、たいてい駅舎と向き合って旅館がたっていたのですが…。背景に、ビジネスホテルの隆盛、駅前再開発、鉄道利用者の減少といった流れがあります。ホテルなら世界中にあります。しかし、和の情緒をたたえた「旅の宿」は日本だけのもの。これが消えようとしています。
 
駅前旅館はかつて「商人宿」とも呼ばれましたほとんどの駅前旅館が家族の手によって営まれています。黒瓦屋根の一軒のお宅に旅行者は「おじゃま」をする。旅館の側は自宅にお客様をお迎えしてお世話する。ーそういう関係が両者のあいだに成立しています。女将さんや主人がふつうの笑顔、ふつうの会話、心のこもったおいしい食事でもてなしてくれます。こちらは我が家に帰ったようでつもりで、畳の部屋にごろんと横になれがよいのです
 
全盛期は昭和30年代。民衆にとっていちばん幸せだった時代といえるのではないでしょうか。戦争が終り、復興を遂げ、平和で豊かな暮らしを謳歌し、鉄道は30年代の国内旅行を華やかに彩ってくれました。しかし家業を受け継ぎ、経営者は高齢、後継者が決まらない。そうした「日本最後の駅前旅館」を記録に残す本の出版は意義深い、と全国の駅前の「お宿」の明かりを探し歩く旅を続けました。
 
その他、「村山旅館(北海道上磯駅)」「花岡旅館支店(秋田県大館市)」「だるま屋 旅館(石川県津幡駅)」「庄司 旅館(福井県大鳥羽駅)」「柏原 旅館(大阪府柏原駅)」「中村屋兵庫県竜野駅)」「旅館 松の下(香川県坂出駅)」「網野 旅館(広島県 忠海駅)」「いくよ 旅館(福岡県戸畑駅)」など。

 

ねー!いいよねー!こんどあえてビジネス旅館をやめて駅前旅館に泊まってみよう。オススメです。(・∀・)♪

 

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駅前旅館をいとおしむ―昭和の面影が残る旅の宿 (Klasse books)

駅前旅館をいとおしむ―昭和の面影が残る旅の宿 (Klasse books)