「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「おでんの丸かじり 24」(東海林さだお)


おでんの丸かじり (「丸かじり」シリーズ24)


年末年始にワタシのいきつけの品川図書館がシステム変更の関係で10日間閉鎖された。週に2〜3回行き、年間300〜400冊読む「活字中毒」のワタシにとっては血液が止まるようだった……。ハアハア……。(*_*)


そんな時に読むのが東海林さだお氏の本。ホッ!


「今回はおでんを徹底研究。鍋の中をひとわたり見回して、はてさて袋物のカンピョウはいつ食べるべきなのか。絶好調のショージ君が正しい「おでん」とのつき合い方を伝授。何事にも作法があるのだ。他にも栗羊羹、魚すき、鯨カツ、カレー丼……舌鼓打ちっぱなし。週刊朝日の人気コラム「あれも食いたい これも食いたい」を単行本化の第24弾」そのエッセンスを紹介しよう。


落雁をかじる」


落雁は「落雁を食べたことがある」という言い方より「落雁をかじったことがある」という方がよりぴったりする。話は変わるが、趣味の話をしていて「俳句をかじったことがある」とか、「尺八をかじったことがある」とかいう言い方をすることがあるが、この語源は落雁にあると言われている。(ような気がする)


思いを新たにして落雁をかじってみました。最初は確かにガリッ”です。と思った次の瞬間、口の中の塊はもう粉です。それまで固まっていたものが一瞬にして粉になる。工事現場でコンクリートの塊を削岩機で破砕したとき、粉塵があたりに舞い上がりますね。まさにあれ。口の中の壁面という壁面に付着し、残ったものは舌の上に降り積もる。こういうお菓子って他に思いあたらない


「海苔のお仕事」


もし海苔が就職試験を受け、しかるべき勤め口に勤めた場合、どういう部署に配属されたら生き甲斐を感じるのか。まず最大の働き口がおにぎりであることに異論はあるまい。大多数の海苔がここに勤めることになる。おにぎり課には二手に分かれるパリにぎ課湿めにぎ課である。最初から海苔を巻いてあるのが湿めにぎ、食べるとき巻くのがパリにぎ。


「ゴマメの歯ぎしり」


おせちの重箱の中はめでたい宴席だ。こうした宴席は、華やかで、色とりどりで明るくなければならない。かまぼこおの紅白、キントンの黄金色、伊達巻きの黄、黒豆、昆布巻きの艶めいた黒、そうした華麗な色彩の中に、なんだか暗くて陰気で貧乏くさい茶色の一団。しかも全員痩せこけていて顔色もわるく、表情暗く、身なり貧しく、身体薄汚れ晴れの席だというのに、全員苦り切って目ばかりギョロつかせている。当人たちもそのことをよく知っているのか、ある者は体をよじって恥じ入り、またある者が深く腰を折り曲げ、貧乏ゆえか尻尾が千切れている者もおり、頭が取れてなくなっている者もいる。晴れの席に首なしで出席するのはいかがなものか。


「エリンギの周辺」


井上陽水の名曲に「傘がない」というのがある。この曲の中の人物は傘がなくて困っている。エリンギにも傘がない。エリンギの場合、正しくは笠だが、この場合は傘と笠は同義語である。


「キヌサヤの初夏」


キヌサヤは一見、とても付き合いのいい奴のように見える。彩りもいいし、形もよく、料理のあちこちに登場する。腰が低くて気軽にどこにでも出かけていく人付き合いのいい奴、と思いがちだが、どうしてどうしてなかなかの頑固者である。我が身に味をしみこませない。この点に関しては絶対に妥協しない。この点はもう実にきっぱりとしていて、そこを何とか、とか、何もそう頑なにならなくてもなどと説得しても応じることはない。キヌサヤ史上、これまで数々の人が交渉を重ね、折衝に当たり、補償問題などをちらつかせ、経済援助なども申し出たりしたのだが、頑として応じない。味噌汁の中のキヌサヤは、まるで撥水加工をしてあるように、しみこませるどころかはじく。姿勢がいい、というのもキヌサヤの特徴だ。おそらく野菜界で一番威勢がいいのではないか。背筋をピンと伸ばし、全身をはりつめさせ、曲がることを嫌う。


その他、「180円ラーメン出現す」「栗で悶悶栗蒸し羊羹」「ホテルで鯛を釣る」「難物、おでんの袋もの」「果物の丸かじり」「駝鳥を食べる」「チキンラーメン45年史」「中華カレーマンを自作する」「お粥を立ち食い」「カレー丼の位置」「ネギでお腹いっぱい」「タンメン受け入れ態勢の行方」「ゆで卵は塩?」「春はもずく」「お稲荷さん讃」「銀座の真ん中で馬を焼く」「とろ玉のドローリ」など。


そうそうびっくりラーメンってあったねえ。180円の割に美味しかったよねえ。「丸かじりシリーズ」はどれから読んでも、どのページから読んでもオススメです。(・∀・)



おでんの丸かじり (「丸かじり」シリーズ24)