さあ!またまた東海林さだおさんの本。シリーズ19弾。相変わらずオモシロイ!(・∀・)
「ショージ君、昼メシの問題をスルドク追求。なんと神田の「まつや」の上天重はえび3本! 1本食べ終わってもまだ2本ある…。日本の昼食は奥深い」そのエッセンスを紹介しよう。
「磯辺巻きのクラクラ」
餅と醤油は誰もが知っている強力コンビだ。海苔と醤油も誰もが知っている強力コンビである。それぞれが独立していても十分強力なのに、その強力コンビが合体するのだ。これ以上の強力軍団はない。もうダメ、許して、堪忍、と言っているのに、そこへ更に熱が加わるのだ。醤油に熱。これも誰もが知っている強力コンビだ。火攻めである。
「青椒肉絲讃」
そもそもこのネーミングがぼくは気に入りませんね。最初に「チン」ときたから、こりゃ何かあるな、ただではすまないだろうなと、いちおうの腹づもりをして警戒していると「ジャオ」なんて予想もしないような意外なことを言ってこっちの気を抜き、さらに「ロー」と抜いて「スー」と抜く。それはないと思うな。身構えたこっちの立場はどうなる。向こうは向こうで、「なにしろチンがジャオしちゃったんで、あとはローしてスーするより仕方がなかったんです」あたりの言い訳をするだろうが、その言い訳は通りませんよ。実力不相応な、青椒肉絲なんて名前さえつけなければ、ぼくはそれなりの実力を認めないわけではない。「ただの牛肉とピーマンの細切り炒めです」という謙虚な態度であれば、ぼくはその良さを認めるにやぶさかではない人間だ。
「ヤキソバパンの悦楽」
一言でいうと下品。二言でいうと安っぽく下等。ここには上等なものは一つも登場しない。コッペパン、ヤキソバ、紅生姜、以上。ここには美学というものは存在しない。急な来客があって、そのへんのガラクタを乱雑に押入れに押し込んだごとし。よく考えてみると、この組み合わせはまことにヘンだ。麺にパン。ヤキソバはそれだけで一食をまかなえる主食であり、パンもまた主食である。世帯主と世帯主、本来ならば皿を一つにしてはいけない仲である同衾してはいけない仲なのである。
その他、「うどん屋の地獄」「しらす干しのある生活」「衝撃!食堂車廃止」「バンザイ厚切りトースト」「チャーシューの“行く春”」「カイワレをいじめるな」「宅配チラシの魔力」「水飲めば……」「懐かしやキャラメル」「串カツの内部事情」「きつねそばと稲荷ずし」「ソフトクリームの夢」「カレーをめぐる冒険」「チクワ天讃江」「360kcalのフランス料理フルコース」「ツユボタの冷やし中華」「久しぶりの機内食」「キウイは答えず」「がんも」「どき」ってどんな時?
やっぱり幸せになる文章だね。楽しいね、食べたいね。オススメです。(・∀・)