「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「劇画王 梶原一騎 評伝」(蕪木和夫)

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劇画王 梶原一騎評伝

劇画王 梶原一騎評伝

 

 ワタシの実家の漫画の単行本コレクションでズラッーと並んでいるのは「巨人の星」「あしたのジョー」「タイガーマスク」「空手バカ一代」「男の星座」などなどの梶原一騎作品。何度読んでも感動する。永遠の名作ばかりだ!ワタシだけじゃないだろう。我々世代は梶原作品にどれだけ影響を受けたことだろうか!?

 

何冊も梶原本を読んできたが、この本の著者、蕪木和夫氏は、梶原一騎に憧れて劇画原作者になったという方。

「晩年の暴行スキャンダルのため、その輝かしい業績を否定されてしまった感のある不世出の劇画作家の人生を辿る」そのエッセンスを紹介しよう。

 
・1960年代後半から1970年代前半にかけて、戦後復興期の苦境と混乱をようやく抜け出したその次代、マンガの世界でもめざましい発展を遂げた。子供じみた荒唐無稽のマンガの世界に「劇画」と呼ばれる従来のマンガ観を打ち破る作品が次から次へと生み出されたのだ。そのマンガ革新の動きの中心に劇画原作者・梶原一騎本名・高森朝樹)がいた。
 
巨人の星」「あしたのジョー」「タイガーマスク」「空手バカ一代」「愛と誠」…これらの作品は、その次代と社会に与えたインパクトの大きさは今日の作品とは比較にならない。梶原一騎という劇画作者はまさにその時代に生きる多くの若者の夢をものの見事に描き、旧来の価値観が崩壊し、新たな価値観を模索している時代を強烈な個性でリードしたのである。
 
世の中にはマンガのヒット作など簡単にひねり出すものと軽く考えている人もいるかも知れないが、それはとんでもない話。供たちの目は大人たちが想像する以上にシビアで、カケラほども作者の名前に左右されず、あくまで作品本位で判断してくるそれだけに児童マンガの世界で長年にわたり人気を維持してゆくというのは並大抵のことではないのである。
 
梶原劇画には必ず対照的な二人のライバルが登場する。象徴的にいえば、その二人は花と草のイメージを持つキャラクターである巨人の星花形満と左門豊作。柔道一直線の赤月旭と城山大作。侍ジャイアンツの眉月光と大砲万作である。そして独自の「師匠」の存在がある。巨人の星における星一徹あしたのジョー丹下段平柔道一直線の車周作、「紅の挑戦者」大利根一鬼……彼らはいずれもその若き日に不慮の事故などにより、自らの青春の夢を果たせなかったたがゆえに、主人公にその見果てぬ熱い思いを託すー。こうした設定が作品の基本ベースになっている。
 
「サインはV!」の原作者・神保史郎「梶原一騎という人がマンガ原作者そのものだった。梶原の前に梶原なく、梶原の後に梶原なしですよ」
 
矢島正雄梶原一騎という人は劇画原作というジャンルの創造者であるとともに、第一級の映画プロデューサーである、詩人だった。彼の残した仕事は質量とともに誰にも超えられないものでしょう。梶原さんはわれわれ凡人が100年かかる道程を半分の時間で駆け抜けてみせたあしたのジョーのようにあまりに見事にあまりに鮮烈な伝説を残してね」
 
原麻紀夫梶原さんはそりゃもうたいへんな巨人だった。巨人も巨人、劇画原作界の大巨人というところでしょう。ぼくなんかこの人がいなければ存在していませんでしたよ。この世界はパイオニアの梶原さんが道を拓き、小池さんが丹念にならし、その後をみんなが歩き出したのだと。それはまさに実感ですね。だから梶原さんが亡くなられた時は途方にくれてしまいました。ぼくたちの偉大な目標がなくなってしまったんですから」
 
週刊ヤングジャンプの角南前編集長「梶原一騎という人は最初にメッセージありきの作家だった。彼の人生観に根ざした魂を吹き込むために原作を書いた最初の人だったと思う。残念ながらジャンプ方式はそれができない。若い作家のピュアな感性を市場に乗せてゆくことは他の追随を許さぬものがあると自負しているが、梶原劇画のような強烈なメッセージを持つことはない」

 

あー!また梶原作品を読みたくなりました!オススメです!♪

 

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劇画王 梶原一騎評伝

劇画王 梶原一騎評伝