この本はじわーっと響く……十代後半にぼやーっと考えていたことを思い出す……。
自分の本当にやりたいことや、出来なかった夢にチャレンジしたくなってくる……。
ワタシにとってはすでにそれはギターだったり、歌だったりするのかもしれない。
「「やりたいこと」をやって生きる。その<あがき〈struggle〉>方は、今も昔も、無数にある。先人に学び、選択肢を増やすため、16人の<在野研究者>の「生」を、彼らの遺した文献や、伝記的事実から読み解く。大学や組織などに所属せずとも、しぶとく「生き延びる」ための<あがき>方の心得、40」そのエッセンスを紹介しよう。
・本棚遊びで英語とドイツ語を習得しつつも七歳の頃、 原因不明の失明により初等教育を一切受けられなかった男がいた。 15のときに突然視力が回復したものの、 両親の死によって18で天涯孤独の身となって日雇い労働で糊口を 凌ぐ生活に突入し、29のときにモンテーニュの『エセー』 片手に季節労働者として各地を転々と渡っていく旅路を経、 サンフランシスコの沖仲仕として働きつつ論文の執筆を始めたのは 39歳のことだった。知的な彼のことを仕事仲間は「 プロフェッサー」と呼んだ。
「 本を書く人間が清掃人や本を印刷し製本する人より遥かに優れてい ると感じる必要がなくなる時、アメリカは知的かつ創造的で、 余暇に重点をおいた社会に変容しうるでしょう」もちろん、 エリック・ホッファーのことである。
・ 振り返ってみれば狭義の学術機関に頼らずに学的な営みをつづけて きた研究者たちの歴史がある。 本書はその営為を在野研究と名づけ、 それに従事する者たちを在野研究者と呼び、 16人の研究者のその生涯と業績をコンパクトに紹介することで「 未来図」のためのささやかな材料を提供することを目指したい。
・「われわれは、 仕事が意義あるものであるという考えを捨てなければなりません。 この世の中に、万人に対して、 充実感を与えれられるような意義ある職業は存在していないのです 。(中略)そういうわけで私は、一日6時間、 週5日以上働くべきではないと考えています。 本当の生活が始まるのは、その後なのです」 食うために働くときは黙って働け。ただし、 きちんと時間を決めて。課せられたその苦労のあとに本当の「 仕事」、「本当の生活」が始まるのだから。労働に対して生半可にやりがいなど求めず、 研究(やりたいこと)と生活(やらなければならないこと) をきっちり分けて、 それぞれを独立させようとするホッファーの考え方は極めて潔い。
三浦つとむ(哲学、言語学)、谷川健一(民俗学)、相沢忠洋( 考古学)、野村隈畔(哲学)、原田大六(考古学)高群逸枝( 女性史学)吉野裕子(民族学)大槻憲二(精神分析)、森銑三( 書誌学、人物研究)平岩平吉(動物学)赤松啓介(民族学) 小阪修平(哲学)三沢勝衛(地理学)小室直樹(社会科学) 南方熊楠(民俗学、博物学、粘菌研究)、橋本梧郎(植物学)など。
いいなあ。いまでこそ脚光を浴びる必要があるかも。オススメです。(・∀・)