酒場のギター弾き 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「1984年の歌謡曲」(スージー鈴木)

  


1984年の歌謡曲 (イースト新書)


この本のタイトル、1984(昭和59)年。ワタシは明大農学部2年小田急線で生田まで通学、大学で授業と実験、サークル活動の連続。夜は竹橋の毎日新聞本社発送部でのバイトで学費を稼ぐため、21時〜翌朝3:30まで働く。仮眠して8:50の一時限目の授業に間に合うために生田に向かう。バイトが休みの日は友人の下宿に泊まり朝まで飲んだくれる……。そして朝の授業に。小田原の実家に帰るのは一週間に一度。というだいたいこんな風な生活をしていた。それが1984年……。


さてこの本。「1984年。あなたは当時、どこで、誰と、何をしながら「1984年の歌謡曲」を聴いていましたか。。そして、<東京化>する日本の大衆音楽=<シティ・ポップ>が誕生した――。バブル経済前夜、1984年は日本の歌謡曲においても大きな転回点だった。70年代から始まった「歌謡曲とニューミュージックの対立」は、「歌謡曲とニューミュージックの融合」に置き換えられた。同時に、シティ・ポップ」=「東京人による、東京を舞台とした、東京人のための音楽」が誕生。それは都会的で、大人っぽく、カラカラに乾いたキャッチコピー的歌詞と、複雑なアレンジとコードを駆使した音楽であり、逆に言えば、「田舎」と「ヤンキー」を仮想敵とした音楽でもあった。1984年、それは日本の大衆音楽が最も洗練されていた時代――。」そのエッセンスを紹介しよう。


安全地帯「ワインレッドの心」


大ヒットの主要因は、サビのメロディである。「♪今以上 そ《れ以》上」「♪あの消えそうに燃《えそ》うな」の、《 》でくくったところの強い引っ掛かりはどうだ。一度聴いたら、二度と忘れることが出来ない必殺フレーズである。「歌獣」玉置浩二のボーカルは、低音部分が湿ったタオル、高音部分が乾いたゴムのような質感を持っている。「♪今以上 そ(ここまでタオル)→(ここからゴム)《れ以》上」という、声質の転換が、このフレーズの引っかかり度をより高めている。玉置浩二は歌が上手いのだが、訓練に訓練を重ねて到達した技術的な上手さではなく、もっと本能的・肉体的な感じがする。噂によれば、私生活でも、のべつまくなし歌っているんという。まさに歌の獣。


中森明菜「北ウイング」


「作曲家は林哲司でという指名は明菜自身によるものだった」「タイトルが明菜自身の提案だった」これはスゴい。とんでもない。要するにプロデューサーの役割を、20歳にも満たない女性アイドル歌手が務め上げ、結果、オリコン年間9位の大ヒット曲を生み出したということが。


作曲家オブ・ザ・イヤー:松任谷由実


1984年までの松任谷由実作品を振り返ると、荒井由実」名義時代と「松任谷」時代で大きく風景が異なる。絵画的な歌詞世界と、奇想天外なコード進行で(やさしさに包まれたならなどは前衛音楽だと思う)、世の中をあっと言わせた「天才」=荒井由実。その天才性を水で薄めてかき回し、大衆にジリジリとすり寄っていく「商才」=松任谷由実という構図。お湯が出る蛇口と、水の蛇口、二つの蛇口からの水量を調整しながら、浴槽の油温を決めるように「天才」性と「商才」性を調節して、世の中に流してみて、黄金比率を探っていた時代。それが松任谷由実にとっての80年代前半ではなかったか。


1984年の歌謡曲 総合ベストテン


1位 薬師丸ひろ子「Woman“Wの悲劇”より」
2位 大沢誉志幸「そして僕は途方に暮れる」
3位 チェッカーズ「ジュリアに傷心」
4位 安全地帯「ワインレッドの心」
5位 サザンオールスターズミス・ブランニュー・デイ
6位 吉川晃司「ラ・ヴィアンローズ」
7位 松田聖子「ピンクのモーツァルト
8位 チェッカーズ哀しくてジェラシー
9位 一世風靡セピア「前略、道の上より」
10位 中森明菜「飾りじゃないのよ涙は」


その他、「吉川晃司「モニカ」なけなしの三億円で、ナベプロを窮地から救った「にせ佐野元春歌謡」」「郷ひろみ2億4千万の瞳〜エキゾチック・ジャパン」郷ひろみの「ネタ化」を促進した強烈な「生命力」のヒット曲」「サザンオールスターズミス・ブランニュー・デイ」一種の発明ともいえる強烈な歌い出しが印象的な、我が人生のサウンド・トラック」「ビートたけしたけし軍団「抱いた腰がチャッチャッチャッ」「デビュー前に100万枚売った男」大沢誉志幸による下世話さが快感の「隠れた名曲」」「大沢誉志幸「そして僕は途方に暮れる」大村雅朗による「ナインス」(9th)の音が、80年代後半を呼び寄せる大傑作」「チェッカーズ『ジュリアに傷心(ハートブレイク)』売野雅勇のコピーライター感覚で、歌謡曲の歌詞から、情念や物語を削除した功と罪」〜など。


あっ、そうそう思い出してきた!この頃読んでいた雑誌は「GORO」「Be-PAL」「よいこの歌謡曲だな。毎日のように神保町に通い、「さぶちゃん」「伊峡」「いもや」牛めしたつ屋」「梅もと」そして毎日新聞の社食でメシを食べた。そして生田校舎の学食、「宿場」「青柳食堂」夜は下北沢か新宿。ああ〜青春時代が蘇る。そしてこの時代の音楽は全部、覚えている。それくらいインパクトがあったんだね。超オススメです。


 


1984年の歌謡曲 (イースト新書)