「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「1979年の歌謡曲」(スージー鈴木)


1979年の歌謡曲 (フィギュール彩)


「酒場のギター弾き」のワタシは「人間カラオケ」として「流し」としてのレパートリーは約6000曲くらいだと思う。そのワタシがギターを初めたのがちょうど39年前の1979(昭和54)年!まさにこの年なのだっ!(・∀・)♪


1979年(昭和54年)の歌謡界は、「ニューミュージックと歌謡曲一年戦争」という感じの、混沌とした空気感が漂っていた
ピンク・レディーはこの年に完全に奈落の一途をたどり、山口百恵三浦友和と交際宣言、沢田研二も明らかに過渡期に突入。この年はアイドル最弱時代で、特にジャニーズ系は影も形もない。そしてその間隙をぬって登場したゴダイゴオフコース、そしてサザンオールスターズら、歌謡曲のアンチとしてのニューミュージック!そんなこの年の魔訶不思議な音楽シーンを通して、昭和の歌謡曲を振り返る」そのエッセンスを紹介しよう。


・1979年の年間トップ10

1 夢追い酒 渥美二郎
2 魅せられて ジュディ・オング
3 おもいで酒 小林幸子
4 関白宣言 さだまさし
5 北国の春 千昌夫
6 ガンダーラ ゴダイゴ
7 YOUNG MAN(Y.M.C.A) 西城秀樹
8 チャンピオン アリス
9 みちづれ 牧村三枝子
10 カメレオン・アーミー ピンク・レディー
11 いとしのエリー サザンオールスターズ
12 カリフォルニア・コネクション
13 HERO〜ヒーローになる時、それは今 甲斐バンド
14 銀河鉄道999 ゴダイゴ
15 きみの朝 岸田智史
16 花街の母 金田たつえ
17 モンキー・マジック ゴダイゴ
18 セクシャル・バイオレットNo.1 桑名正博
19 ビューティフル・ネーム ゴダイゴ
20 いい日旅立ち 山口百恵


79年ならではの独特な空気感に気付かれるのではないか。まず第一に(演歌含む)謡曲とニューミュージックがほぼ同一比率で混在していること。この年の音楽シーンにおける最も大きなトピックは、ニューミュージックの台頭である。次に女性アイドルやジャニーズ、さらにはヤンキー系の楽曲が存在しないこと。


ピンク・レディーは79年に完全に凋落の一途、と山口百恵は「恋人宣言」をした79年秋以降、もうアイドルという枠を超えた特別な存在になっていた。またジャニーズ系は影も形もないし、キャロルやダウンタウン・ブギウギ・バンドの流れをくむヤンキー系音楽も、ここには(一見)存在しない。(「一見」但し書き付けるのは、甲斐バンドにその要素を見出すからである)このような79年の音楽シーンの特殊性と魅力生を解剖したいというモチベーションである。


布施明君は薔薇より美しい」ー「ミッキー吉野の時代」が永遠に続くと信じさせた、1979年の幕開けを飾る・超・名曲


「音楽の構造を完璧に知り尽くした人」ーそういうイメージがミッキー吉野にはあるゴダイゴの『モンキー・マジック』『銀河鉄道999』に特徴的なのだが、完璧に計算された緻密な編曲と演奏。息もつかせぬ(むしろちょっと息苦しい)圧倒的な音の塊。それは、それまでの歌謡曲には言うまでもなく、それまでの日本ロックにも無かった完成度。君は薔薇より美しいは管楽器がとてもリッチに鳴り響くイントロからすばらしい。そしてディミニッシュというコードを効果的に使っているのだ。「♪息を切らしー」の「し」のところ。そしてサビの「♪変わったー」は、日本が誇るテノール布施明の真骨頂で、殺人的な高音(上のA)で歌い出す。


・79年の音楽シーンはアイドル不遇の時代。新人賞のメンバーが、井上望倉田まり子松原のぶえ桑江知子竹内まりやという地味さ。そして、男性ファンのいやらしい目線を拒否したようなニューミュージック系の女性歌手が、中性的な歌詞を朗々と歌う時代の到来。そういう時代のど真ん中に八神純子がいた。ー「星よ、アメリカよ、地球よ、そして女よ」そて八神純子の時代に地味に爪をといでいた、本来なら、マーケットの中でもっとも「キャリアウーマン」を体現すべき才能が、作家として、シンガーとして、80年代の徐々にのしてくることとなる。その女性の名は、松任谷由実という。



桑江知子「私のハートはストップモーション」」ー渡辺プロは世に放った「にせニューミュージック」は、竹内まりやを超えた。「八神純子「想い出のスクリーン」ーヤマハから世に出た優等生に中でも指折りの優等生による、優等生的名曲」「ジュディ・オングエーゲ海のテーマ〜魅せられて」ー79年を象徴する代表曲は、筒美京平によるアレンジの到達点」「桜田淳子「サンタモニカの風」ー35年後の今だったら、AKBの「センター」に君臨していただろう」「サザンオールスターズいとしのエリー」ー79年に歌謡曲の中でもっとも重要な曲。日本ロック史のターニング・ポイント」「八代亜紀舟歌」ーモダンに追い詰められた阿久悠による、ポストモダン路線の出発点にして、到達点」「松坂慶子「愛の水中花」ーバニーガール姿の松坂慶子によるあの曲はオヤジ層のエロ需要が支えた最後のヒット曲」「パル「夜明けのマイウェイ」ー「ザ・79年サウンド」の到達点は、荒木一郎の鬼気迫るポップセンスによって創り出された」 など。


この音楽評論の分析と切り口には思わずうなってしまう!まるで文明評論だ!歌謡曲という言葉が絶滅しそうだけど、歌謡曲ファン、必読っ!オススメです。(・∀・)



1979年の歌謡曲 (フィギュール彩)