「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「コッコロから」(佐野洋子)

 


コッコロから (講談社文庫)


100万回生きたねこで有名な絵本作家の佐野洋子さん。もう亡くなって8年経つんだね。彼女が恋愛小説を書いていたとは知らなかった!


私、恋って、どっか美人だけがするもんだって思ってた――彼氏いない歴21年、こけしそっくり顔の亜子が、人生で初めて恋をした! コッコロから=心からでないとなにかを「好き」と言えない亜子の、人生最初の恋。相手は超美形の東大生って、怪しい?佐野洋子が遺してくれた恋の本質、改訂版。抱きしめたくなるような、ピュアな恋愛小説、ありマス。追悼、佐野洋子さん 忘れられない出会い。永遠の一冊」その中でもはじめてのチュウの描写を紹介しよう。


・私は手をまっすぐに開いたまま叫んだ。「私、沢野君好きになったかも知れなーい!」
マサノリは私の声におどろいて、抱いている私をそのまま体からはなして、まじまじと私を見た。そして、人形の手を動かすように私の手を片方ずつおろして、私をこけしのようにすうと、ぎゅっと肩を抱いて、そうっと唇を私の唇に重ねた。
私は牧草地にペタンと座って、ドキドキして気絶するかと思った。
マサノリは私のうしろで、私を抱いてじっと私の髪の毛にほっぺたをくっつけている。「キスって……」私はどぎれどぎれにしか息ができなかった。「キスって……こんなに……むにゅむにゅすると……思って……いなかった……。……すごく、気味悪くて……すごく気持いい……」


マサノリは突然笑いだした。
「わたし……わたし……もう一回位……したい……」
マサノリは、私をもう一回後ろから抱きしめて、
「本当に君、かわいい」
そして私のあごをねじって、もう一度、私の唇に唇を重ねた。


私、恋人がいなかった時より、今どっかですごく安心な気持で、私のところだけ、お日様があたっている。うっとりねむたくて、心は空とんでいるみたいで、本当にことばでなんか説明できない。本当に言葉って不自由なものだわ。一回本当にキスしたこと、どんな言葉つあっても説明できない。急に、この場が真新しく見えたりする。


そう、私、恋って、どっか美人だけがするもんだって思っていたんだ。だから、何かひがんでいるくせに傍観者面していたのかもしれない。そんな私が、こんなこんぐらかった局面に立ってしまった。人は誰でも人生の主人公なのだ。人生の主人公であるからことから降りることは出来ない


「初デートはドリアの法則」って知ってた?やっぱり恋っていいねえ。恋しなくちゃ!オススメです。(・∀・)


 


コッコロから (講談社文庫)