「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「タケノコの丸かじり 15」(東海林さだお)

  


タケノコの丸かじり (文春文庫)


お盆休み。仕事はあるものの休みというのは、こんなにもリラックマするものなのか!と思う。そういえば、リラックマは今年15周年だそうだが、わが家ではそのずーっっと前、30年以上前から夫婦で使っているコトバだ。電車で話しているときに、誰かに「パクられた」んだなあ…。(笑)


さて、リラックマするには、東海林さだおさんの本だよね。今年こそ全作品読破したい!その第15弾「おじさんのパフェ道。カツカレーの迫力はどこからくるのか。カツ界オールスターキャストを片はしからアグアグ。冷や奴の呪いにかかったサラリーマン。たけのこフルコースのバラエティ。自分で焼く焼き鳥屋。かき氷のミゾキュン状態とは?カレーラーメンはなぜないのか」そのエッセンスを紹介しよう。


缶詰の地位は年々下落している。いつまでたっても腐らないのだけが取り柄で、イザ食品としてなんとか生きながらえている。イザとは、イザ鎌倉のイザで。缶詰の場合は三大イザのために各家庭に備蓄されている場合が多い。三大イザとは、災害イザ、来客イザ、月給日前イザのことだ。来客イザは、深夜課長サンなんかが、酔った勢いで「オレんち行って、もうちょっと飲もう」なんてことになって、部下を数人引き連れて帰宅したりした場合だ。そこでカニ缶(推定価格2000円)」を出したら、会社中は大騒ぎとなり、課長はたちまち部長ということになる。(ならないか)カニ缶にはそれくらいの力が有る。カニ缶はまさに缶詰の王者なのだ。


大根おろしはとても情けない思いをしているのではないだろうか。とにかく本体がメチャメチャだ。まさかこうまでされるとは、本人も思っていなかったにちがいない。太くて、大きくて、張りつめていて、堂々とあたりを払っていたあのたくましい大根が、亡ぼされて、むなしい姿をさらすことになってしまった。大根も、この実態を世間に知られたくなかった。これで全部バレてしまったのだ。


おでんのヨロコビは、いじるヨロコビである。おでん屋の店主はおでんをいじってばかりいる。おでん屋の客は、皿の中のおでんをいじるともなくいじっている。5分に一回はツユをすくって味をみる。用のないときは、箸の先でガンモをいじってみたりコンニャクをなでてみたりする。いじったあと、全体をジッと見つめている。さながら巣をかかえた親鳥。さながら園児たちを一カ所に集合させた園長先生。騒ぐものがいればこれをなだめ、逃げだそうとする者がいれば、これを取り押さえる。つきっきりで面倒みっぱなし。おでんのほうは面倒みられっぱなし。この店主の過保護は、人間の親の過保護を通り越している。鍋の中でひしめきあっているおでん達は、いじめられて喜んでいるように見えるから不思議だ。


その他、「いまブレイクの油そば」「ロバさんの国のエチオピア料理」「造幣局の通り抜け」「錦水亭の筍コース」「回転寿司をスタンドで」「冷や奴の呪縛」「七味唐辛子の謎」「ホウレンソウのおひたしの不思議」「味噌ソーメン」「旭鷲山は何を食べて育ったか」「ビル・ゲイツの夢」「切り口の美学」「自分で焼く焼き鳥屋(スマイリー城)」など。


……焼き鳥、自分で焼いてみたいなあ……。オススメです。(・∀・)


  


タケノコの丸かじり (文春文庫)