「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「江川の四試合」(工藤健策)

    


江川の四試合


野球が大好きなワタシは、野球関連の本だけでも年間50冊くらい読破する。最近ハマっているのは明治大学の先輩でもある工藤健策氏の本。通常のライターや評論家とはちょっと違う視点と切り口が実に興味深い。


野球界に隠れていた24のエピソード。プロの世界で戦う男のドラマがそこにはあった。野球界に隠れていた24のエピソード。長嶋、張本、江夏、王、仰木、桑田、清原らの素顔を映すスポーツ・ノンフィクションの最高傑作」その中でも「怪物江川」のエピソードが実にオモシロイ。紹介しよう。



「江川の四試合」


江川が引退した。実働9年。通算135勝72敗。
元号が平成に変わった年、江川からセ・リーグ記録部に四枚のスコアシートを欲しいと連絡があった。それは江川にとっていずれも記念になる試合で、ファンにとっても「ああ、あのゲームか」とすぐに思い出せる試合なのだが、その中身を見ていくと、江川がプロ野球をどう考えていたかだけではなく、江川がどのような特徴を持ち、その江川をプロ野球界がどう見えていたかがわかってくる。


初勝利、二十勝、広島戦の100球肩の負け試合、日本シリーズ西武線最後のマウンド。



江川の四試合からは、彼が精神的な緊張状態に耐えられずに自壊していくさまが読み取れる。江川は体も技も人並み外れたものを持っているのに、心がそれに追いつかないのだ
そして、長嶋、王という二人の監督はその心に振り回されてしまった。プレッシャーの少ない環境で気ままにプレーすればもっと楽しく野球をすることができるのだが、江川はそうしようとせず巨人を選び、江川に選ばれた巨人軍は最後まで彼の心に気づかなかった。


重圧に弱かったエース江川は巨人軍に、「常勝」をもたらすこともなく、巨人史上最高のプレーヤーだった二人の監督の足を引っ張り、現役を退いた。それは、竜巻のように周囲をその渦に巻き込んで球界を駆け抜けた9年間だった。


その他、「ホームラン王の秘策(王貞治木俣達彦)」「張本の忘れもの」「江夏、カーブや!」「長嶋の後継者(堀内は天才?)」「野村(克也)の評判」「山本浩二の秋季トレーニング(江夏とテレビゲーム)」「殿堂監督の言い分(金田正一はなぜ永久欠番にならなかったのか)」「上田(利治)の記憶力」「江尻の名言」「王貞治の失敗(吉村と栄村)」「長嶋一茂の害」「清原の悲劇」「森(祇晶)の特効薬」「悲運と強運」「原の聖域」など。


これ、ぜひ続編が読みたい。野球ファン必読。超オススメです。(・∀・)


    


江川の四試合