「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「江戸宇宙」(桐山桂一)

  


江戸宇宙


仕事に追われるせわしい毎日の中、ときどき「江戸時代に戻りたいなあ…」と思う時があるのは私だけだろうか……。(・∀・)


さて、この本はいいよー!「自然破壊型の現代文明とは異質の価値観の世界、それを『江戸宇宙』と呼ぼう」 良い時代だったんだねえ。そのエッセンスを紹介しよう。


欧米が「力の文明」なら、江戸期の日本には「美の文明」があった。「欧米の「力の文明」は、基準を善と悪に置き、絶対真、科学的真理を追求しました。それが自然科学を進歩させ、軍事力への応用をみたのです。それに対し、江戸時代は約270年間もつづいた平和の時代でもあった。武器から鉄砲から刀へと退化させたほどです。その刀といっても、むしろ武士の美学の象徴で、道徳や学徳を貴ぶ徳治主義が根底にあった。「生活は質素でした。資源循環というエコノミカルな生活スタイルも、外国人の目には美しかった。日本が理想郷に見えたのです」 


江戸はまさに庭園都市だった。「深い堀、緑の堤防、大名の邸宅、広い街路などに囲まれている。樹木で縁取られた静かな道や常緑樹の生け垣などの美しさは、世界のどの都市も及ばないだろう。」「日本人の国民性の著しい特色は、下層階級でもみな花好きであることだ。いつも好きな植物を育て、無上の楽しみにしている。花を愛する国民性が文化差生活の高さを表すものなら、日本の下層階級は英国の同階級よりもずっと優っている」


十九世紀の日本は、手作りの極致にあった。職人は仕事に精魂込めて、満足のいく製品をつくりました。消費者も自分の個性にあったものを買った。いわば生産者の心と消費者の心が一致していた時代といえます。作り手と使い手の息があったなかで、職人の仕事文化が生まれたのですよ。


人々は親切で、進んで人を助ける。当時の人々はボランティアという意識すらなかったはずで、当たり前であるかのように人助けをした。江戸時代の「義理人情」とはフランス語での「博愛」とほぼ同じ意味ですよ。


有機農法のいいお手本が、江戸時代にあった。まさしく循環型社会でした。金属製品などを除けば、身の回りの大半が植物でできていた。その上、江戸人は植物を無駄なく使った。ごみを出さないというより、そのごみさえ利用した


・江戸庶民は長屋の中では協力し合いました。助け合いの精神がありました。水もトイレ共同だったから、いわば共同生活と似ていた。「魚をさばくのも井戸端の洗い場だったから、井戸端会議ができるわけです。その井戸も「井戸替え」といって、七夕のころに全員総出で掃除をしたものです」


今、手元に現金がなくても生きることができた。その日の稼ぎが悪かったら、隣に走って『また返すから』と米をひとつかみ、もらってくる。魚売りが来ても『貸しといてよ』で済みました。明日は明日の風が吹くといった気楽さが、当時の庶民の生活にはあったように思います。道は東西を問わず、生活の場、出会いの場でそこではあいさつが交わされ、言葉が交わされ、子どもにとっては“学校”みたいな場所でした。


・何しろ識字率が非常に高かった。農村でも上層の農民は和歌をたしなみ、中層でも俳句をつくったほどです。それ以下の人々でも、ある程度は読み書きができたんですからね。こんな社会は西欧でもどこにもありまさせんでした。東欧では読み書きができたのは、ほんの一握り。この識字率の高さが、近代の文書行政を成り立たせる上で、非常に重要な役割を果たしました。


いまこそ、江戸時代から学ぶことがあるよねえ。オススメです。(・∀・)


  


江戸宇宙