「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「2050年は江戸時代 衝撃のシミュレーション」(石川英輔)

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20年くらい前にハマった石川英輔さんの本。江戸時代について、環境について、エネルギーについて、食料について、考えさせられる。そして再読したのがこの本!!!まさに、これから江戸時代に戻るかもしれない!予言の書かもしれない!!!

 

21世紀、物質面の行きづまりから、日本は省エネルギー、完全リサイクルの江戸時代へと回帰していた。一日三時間半働けば暮らせる晴耕雨読の生活。必要なモノは簡単につくれる自給自足社会。自然と共存共栄していた江戸の精神と豊かさ、楽しさをわかりやすく伝え、現代文明に警鐘を鳴らす衝撃の問題小説」そのエッセンスを紹介しよう。
 
商品としての農作物を作るのが主な仕事だった大刷新前の農業と違って、今の農業は、基本的には自分たちの食べるための作物を作るのが目的だ。だから作れるもの、作りたいものは何でも作る。
 
大刷新は、近代日本の国民にとって、明治維新後と第二次世界大戦の昭和敗戦に次ぐ三度目の大変革だっ。大刷新の前に、今では、江戸時代の次の『東京時代』と呼んでいる華やかな時代があったこと。そして、途上国の人口爆発による世界的な食料不足で、工業第一で農業を軽視していた時代なら、金にものをいわせて世界中から食料をかき集めることもできたが、工業生産が行き詰まってくると、その手も使えなくなった。
 
・中年の世代がなぜ気持ちの良い下駄や、自分で簡単に作れる藁草履を嫌って、わざわざ古ぼけた靴を探してはき、足を変形させなくてはならないのか理解できなかった。だが靴を安く買えた時代に育った世代にとっては、原始的な木製や藁製の履物など見るのも不愉快だったのである。
 
6500万人という膨大な人口が、狭い国内で食料を自給しなくてはならない現代社会では、とにかく田畑を耕して、作れるものは何でも作る。自分の食べ物を作ることがすべてに優先するから、まず、野良仕事をして、余った時間でほかのことをするのが大原則なのである。
 
自作農が質量ともに社会の中枢になり、食料を作ることをすべてに優先させなくては生きていけない社会からは、かつての過剰なまでのゆとりがほとんど消滅していた。政治や行政さえ、巨大な機構が、数十分の一の規模の調整役に縮小した。大刷新以後の日本の変化は、肥大化した政府が適応しようのないほど早かったのである。こんな社会では,基礎教育の小学校でも、5年かけて読み書きと計算、それに農業の基礎を教えるのがやっとである。高等教育を受ける人間は激減し、ついには東京時代最盛期の百分の一以下になった。これも、大刷新の結果の一つだった。
 
大刷新は、最初のうちは刷新でも何でもなくて、きわめてゆっくり進行したから、みんなは、ただの経済的な景気の波の一つぐらいに思っていた。ところが、実際はそんななまやさしいことではなかったのだ。もう、もとのような世の中に戻れないことをみんが納得してあきらめるまでにも、5年以上、10年威嚇はかかったと思う。変化の意味をみんなが本当に理解して、逆らわず積極的に受け入れようとする、いわゆる大刷新になったのは、その後のことなのだ。しかも、そいいういろいろなことが、順を追って起きたのではなくて、あらゆることが同時進行でじわじわ変化していったのだから、今になっても、どれが原因でどれが結果ということさえ、はっきりわからないほど入り組んでいる。
 
・私は、この年まで医者をやっていて、まだ糖尿病の患者さんを三人しか診たことがありません今では非常に珍しい病気です。
 
これだけ大量の食料を捨てて平気でいられたのだから、人類史上珍しい豊かな社会だったことは間違いないが、同じ頃の地球上では、大勢の人が餓死したり空腹を抱えて暮らしていたことを考え合わせれば、どう考えても当時の日本の繁栄ぶりがまともだったとは思えない
 

うーん……この「緊急事態宣言」の社会変革がのちに「大刷新」と呼ばれるようになるかも!?じわじわと来そうだなあ……この時期にこの本に出会えてよかった。石川英輔さん、また読み直そう!超オススメです。(・∀・)

 

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