「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「江戸の大道芸人 都市下層民の世界」(中尾健次)

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いまは芸人といえばあらゆるところ活躍しているけど、そもそもの始まりは「河原乞食」と言われていた、蔑まされていた職。いまはそのカケラもないよね。その始まりは江戸の大道芸人だったっ!!!

 

江戸の身分社会のなかで、芸人たちはどのような扱いを受け、どんな芸をみせていたのだろうか?被差別民と大衆芸能のつながりを探る」そのエッセンスを紹介しよう。

 
・本書は、主要な舞台を江戸に置いています。ここには「非人」「乞胸(ごうむね)」「願人(がんにん)」「猿飼」「越後獅子」「香具師(やし)」など多くの大道芸人が登場してきます。このうち「非人」「乞胸」「願人」は、きわめて“江戸時代的”な存在です。社会の動きを反映して絶えず流入流出をくりかえし、いわば“社会の落伍者”的な存在である反面、芸能を通じて民衆文化を底辺から支えていました。本書の主役はまさに、このような人々です。
 
「ヒニン」の発音が「非人」に通じるわけで、もともと「貧人(ヒンニン)」と書かれていたのが、発音される時に「ヒニン」となり、次いで「非人」という漢字を当てるようになったのでしょう。長い戦国の動乱で家を焼かれ田畑を踏みにじられた農民たちが、職を求め大挙して城下町へ入ってきました。彼らこそ、「貧人」の主力部隊です。
 
・城下町が建設途上にある間は、堀を掘ったり石や材木を運んだりなど、土木・建設の仕事を中心に多くの労働者が必要でした。しかし、城下町の建設が一段落すると、仕事にあぶれる人々がだんだん増えてきます。労働力が飽和状態になってきて、結局「貧人」たちは「物もらい」などをしながら城下町のあちこちにたむろして、ひたすら生きるための手だてを求めることになります。
 
・非人の生業
 
1 不浄物のとりかたづけ
2 土さらい
3 行き倒れ変死体のかたづけ
4 古雪駄直し
5 古木・紙くず拾い
6 浄瑠璃語り・物まね・袖乞い
7 各役所からの御用に対する人足
 
注目されるのが、6、です。まさしく大道芸です。
 
大道芸は、けっして簡単ではありません。大道を行く人々の足を止め、まず魅了し、さらに財布のヒモをゆるめさせねばならないのですから……。しかし、元手の要らない仕事であることはたしかです。生きるための演技ですから、彼らの芸はしだいにきたえられます。こうした生業が、都市下層民の生活を支える最後のとりでとなりました。そのため多くの民衆が、全七手下の抱非人とおなじような大道芸をはじめることになります
 
「物まねは「非人」の当たり芸」「身ぶり声色の天才・松川鶴市」「乞胸の身分と組織」「十二種の大道芸」「猿飼の芸能」など。

 

芸能界を目指す人は、これが芸人のはじまりだということを知っておいても悪くないよね。オススメです。(・∀・)

 

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