仕事柄、飛行機をよく利用する。しかしパイロットという職業の人には会ったことがないなあ…!?(・o・)
さて、この本、元パイロットのとっておきのナイショ話が満載。そのエッセンスを紹介しよう。
・パイロットとスチュワーデスの関係を医者と看護婦に見立てる人もいるが、これは似て非なりというところ。医者と看護婦はほとんど毎日一緒に仕事をして、しかも同じ場所で顔をあわせるが、パイロットとスチュワーデスは便によって組み合わせがどんどん変わるし、ふだんは一緒に食事をすることもなければ、顔をあわせることすらない。本当に飛行機のなかだけと言っても言い過ぎではない。
・どちらかといえば、お客さんと結婚するスチュワーデスが多いように思う。A社でも芸能三課と言われたほど、客室部第三課のスチュワーデスに芸能人やプロ野球選手との結婚が相次いだことがある。これは芸能人やプロ野球選手が仕事で頻繁に飛行機を利用するからだろう。顔見知りになりやすいのは当然。そうしてだんだん仲良くなって、食事でもするようになってゴールインということ。
・ただ、再婚相手がスチュワーデスというケースは多いかもしれない。もともとパイロットの離婚率はかなり高いと思う。極端な話では同期の中で離婚歴のない男は一人だけ、ということもある。いちばん大きなリユは、家を離れている時間が長いために夫婦関係がぎくしゃくしていってということなのだろうが、そればかりではない。
・パイロットとスチュワーデスのあいだで、やりとりがトンチンカンになることが最近多いとも聞く。パイロットが考えていることとスチュワーデスの考えていることが全然違う、業務で使っている航空用語がほとんど通じない、機内連絡ですら相手の言っていることが、わからないなど、けっこう問題になっている。
・飛行機を操縦できるのに、自動車のライセンスを持っていないパイロットくらいなら何人もいる。
・海外からのロングフライトで「今日はやけに早く着いたな」というとき、意外とそれにはパイロットの個人的な予定がからんでいることがあるかもしれない。
・自家用機は、ごく少数だが持っている人もいる。以前、熊本の空港で訓練所があった頃、いつまで経っても来ない人がいた。「どうしたんだ、遅刻か」と言っていると、向こうのほうからセスナがぷるぷる音を立てて着陸してきた。「ごめん、遅れちゃった」。ボーイング社でもっとすごい光景を見たことがある。夕方5時頃になると、滑走路からいっせいに従業員の自家用機が飛び上がって行った。日の出とともに漁に出る漁船団みたいだった。
・飛行機のキャビンには角のあるものはない。すべてが丸みのある柔らかい素材でできていいる。これは事故などのときに、乗客へのダメージを少しでもやわらげるためだ。
・僕は、安全問題のセクションにいたことがあったので、事故報告書に目を通す機会があった。しかし御巣鷹山の事故報告書は、何度読んでもわからない。ほかの人も言っていることだが、僕自身がわからない。あそこで報告されている事故原因についてわからない。
・よく「UFOを見たことがありますか」と聞かれる。これを未確認飛行物体と見たか、と理解すれば、じつは多くのパイロットは見ているんじゃないかと思う。僕自身は、二度ほど見たことがある。
・天皇フライトや皇太子フライトの場合、着陸すると必ず窓のところに国旗を立てることになっているほかは、通常のフライトはさほど変わらない。ただ着陸のときだけは気をつけなければならない。間違っても予定到着時刻より早く着陸しない、ということだけだ。時間に合わせて、皇族を迎えるためにさまざまな準備をしていて、そんなところに予定より早く到着してしまったら現地の方々に大きな迷惑をかける。知事が迎えに出てこないうちに降りてしまったら、セレモニーにならない。だから予定より早く来てしまったときは時間になるまで上空をぐるぐる旋回して待つ。「知事が来た」とか「まだ降りるな」という連絡は管制からではなく、カンパニーと呼ばれる会社専用無線からくる。
・国際線のパイロットは大きく二つい分けることができる。寝ないで仕事をする奴と、寝ないで食べ続ける奴。
その他、「スチュワーデスとパイロットの気になる関係」「パイロットができるまで」「飛行場のクセと離着陸」「事故とさまざまな謎」「コクピットのなかでは……」「機内を彩る?いろいろなお客さん」「パイロットのグローバルな内緒話」「パイロットはほんとうに破格の待遇か」「パイロットをとりまく環境」「安ければいい?安全は別?」など。
…ということは御巣鷹山の日航機墜落事故は人災だったのかなあ…いろいろと納得させられるなあ。オススメです。(・∀・)