「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「プロ野球 スカウトの眼はすべて「節穴」である」(片岡宏雄)

あれほど甲子園、六大学野球で活躍したハンカチ王子斎藤佑樹がなかなか浮上してこないよねえ…。(・o・)あれでは斎藤を獲ったスカウトも浮かばれないよねえ…。


さて、選手とプロ野球をつなげる仲介者、それがスカウトだ。スカウトは何を見、何を信じて指名選手を決めるのか。これまでベールに包まれていたその舞台裏をヤクルトのスカウト部長を務めた著者が自身の体験をもとに初めて明かす。そのエッセンスを紹介しよう。


はっきり言おう。斎藤佑樹が球界を代表するようなピッチャーになる可能性は限りなく低い。ピッチャーとしての斎藤の技術は高く、すでに完成されている。並みの選手ではなことはあきらかだ。それでも彼のピークは早稲田実業のエースとして甲子園を制覇した06年の夏だったようなきがしてならない。それは、なぜか。


・私の眼には、早稲田大学に進学してからの斎藤には、“感じるもの”がなかった。それが何なのかを言葉にするのは難しいが、あえて言うなら長年のスカウトで培った勘のようなものだ。ピッチャーとしてもっとも大切な「球離れのよさ」と「リズム感」、そしてプロで生き残るために必要な「身体の強さ」が大学四年間でさほど成長しなかった点が気になっている。


人が人を判断することほど、難しいものはない。ドラフト上位選手が活躍するのはあたりまえで、うまく育たなければ「なんであんなやつを獲ったんだ」と陰口を叩かれる。スカウトといえども所詮、人間だ。誰が本当に活躍できるかなど、わかるはずがない。その意味で、すべてスカウトの眼は結局、「節穴」なのだ。私はいつも、冗談半分、本気半分で「スカウトなんて“ギャンブル”だよ」と言っていたものだ。


スカウトとは、人が人を判断することである。野球をする、という一点において人間の才能を見極めるのだ。とてつもなっく速い球を投げる。誰よりも遠くに珠を飛ばせる。そんな一芸に秀でた選手たちの中から、チームの戦力になりうる「金の卵」を見つけ出す。プロで通用するか、あるいはプロ入り後に成長する伸びしろがあるかどうかを見ている。


・スカウトに必要なものは何か。あえて言葉にするなら、私は「ネットワーク作り」だと考えている。全国に張り巡らせた情報網から「こんなピッチャーが出てきた」「すごいホームランバッターがいるぞ」といった情報を集める。この情報収集がスカウトにとって「第一歩」ここから自分の眼でチェックし、いい選手ならマークするようになる。裏を返せば、この情報網が広ければ広いほどいい素材が引っかかってくるわけだ。


・いい選手は、ユニフォームを身に纏っただけで雰囲気がある。一球投げたり、ひと振りすれば◯か☓か、瞬時に判断できた。


・甲子園で高校時代のイチローを見ている。当時の印象は「足が速くてミートのうまい選手」。ピッチャーとしてはとても無理だが、バットを振れば10本中7,8本は芯に当ててくる技術を持っていた。高校生レベルでは飛び抜けていたが、プロでやるにはまだまだスケールが足りない、それが私の評価だった。他球団のスカウトも同じような評価だった。打者としての将来性は感じていた。だが、俊足巧打の選手たちはゴマンといる。ドラフト候補に推すようなプラスアルファが見当たらなかった。そんな中オリックスの三輪田さんだけはイチローの才能を高く買っていた。


スカウトは結果がすべてだ。獲ってくる前に何を言われようとも、その選手が一軍で活躍するようになれば周囲は文句を言えなくなる。逆に上司の顔色を窺って選手を獲得してきても、まったく芽が出なければスカウトの責任だ。人が人を判断することなどできない。それが私の33年間のスカウト人生で導き出した答えだ。ただ判断はできないが、信じることはできる。その人の才能を、そして自分の判断を、だ。ギャンブルだと思えば、自分の判断に賭けたほうがどんな結果になろうとも納得できるではないか。私は実際にそうしてきたし、その考えはいまも変わらない。


その他、「心底惚れ込んだ天才バッター・高橋由伸」「スカウトの表側」「スカウトの裏側」「誰が「金の卵」を殺すのか」
知名度重視の指名という戦略」「ドラフト候補選手は「西高東低」」「長嶋一茂野村克也」「野村再生工場を認めないのはなぜか」「赤く染まった神宮の空」
など。


やっぱり高橋由伸は、20年に一人の逸材だったのかあ……ヤクルトに行っていたら三冠王になっていたかも!?プロ野球をますます面白くする本。オススメです。(・∀・)!