「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ひとを見抜く 伝説のスカウト川西俊雄の生涯」(澤宮優)

私はソニー生命の営業所長時代にヘッドハントの仕事をやっていた。人を見抜き、口説き、採用して育てる難しさは言葉では言い尽くせない。さて、この本。私が現役時代に読んでおけばよかったなあ…という本。採用、面接、人事担当の方は必読!そのエッセンスを紹介しよう。


・大正9年生まれの川西は、高校野球の名門明石中学(旧制)を経て、戦前の明治大学の名外野手だった。戦後は南海ホークスの外野手として二番を打ち、三年廉造で盗塁王に輝いた。現役引退後、阪神タイガースの二軍監督などの指導者を経て、コーチ、スカウト兼任、そして近鉄のチーフスカウトの要職にあった。スカウト歴37年の球界屈指の名スカウトである。これまで手がけてきた選手は阪神時代に、安藤統男、遠井吾郎、藤田平、上田次朗、山本和行川藤幸三中村勝広掛布雅之近鉄時代には大石大二郎阿波野秀幸野茂英雄中村紀洋、小野和義、金村義明と限りがない。いずれもタイトルホルダーや球界を引っ張ってゆくスター選手になったものばかりだ。スカウト歴40年。入団させたのが300人。


入団を渋る難関選手を、粘りのある交渉で、悉く翻意させ、入団させてきた。その柔和で、人の心に訴えかける交渉術から「仏のカワさん」「落としのカワさん」「人たらしのカワさん」「スッポンの川西」とも呼ばれてきた。


広島東洋カープの木庭教(さとし)
阪神が弱くなっったのは川西さんがいなくなってから、近鉄が強くなったのは川西さんが移ってから」


「ただ技術を見て、体固いし、肩も弱いし、これだめだと言うことができる。だけどこいつはスター性を持っているぞというのは川西さんにしかわからない。これはある程度選手を獲って経験してかなり見えてくるのであって、これは言葉では表せないし、人には教えられない」


「もちろん選手の獲得はカワさんだけの力じゃない。それぞれの担当がいるけど、最後は見ているよ。でもあの人らしいのは、自分が獲ってきたとは一言もいわんところやったね


ウチ(阪神)を愛しているのなら来てくれ。他の球団は高い契約金を用意しているとか、1年目から一軍を約束するとか、おいしい話をしよるけど、ワシはそんな話はようせん。プロは厳しいし、ウチは満足な契約金も払えん。でもプロ野球は自分の腕一本で稼ぐ世界や


「高校生を見るときは、母親のお尻を見ろ」「ワシは君のことを高校一年のときから見とったよ」


「本人からしてみたら、やはり自分の好きな球団に行きたいやろ。でもな自分の好きな球団に入ることと、一番チャンスのある球団、これは違うんや。いくら好きな球団に入っても上がつかえていたら、入ってもしゃあないやろ」


私はプロでやれますという自信のある子は、ちょっと待て、それは自信じゃな過信やと言うんや。だから不安があって当然や


辞めるときは担当のスカウトにも知らせてくれ。仕方のないことかもしれんが、どこか他にないか、球団にスタッフとしてもってゆけるから」


「ワシは好きな野球で生活できて幸せやったが、生まれ変わってもスカウトは二度とせんな。しんどいわ。これからは楽しんで野球を見るわ」


スカウトの極意は、やっぱり誠意かな


いわば、スカウトという裏方の眼で見た野球史。一流スカウトの眼は、野球だけでなく、めまぐるしく世界が変化し、不安定な今日に、先を見通す眼、本物を見抜くヒントを与えてくれる。おすすめです。(・∀・)