私が尊敬申し上げている東海林さだお氏。何度もいうが天才である。その着眼点と文章力は、読み進めるたびにうーん!そうだ、そうだ!とうなってしまう。疲れたときにもリラックスして読めて、思わず笑ってしまう。(・∀・)
さて、今回の本のテーマは、「ソースカツ丼」である。…私はまだ食べたことがないかも!?そのエッセンスを紹介しよう。
・今回の旅行の発端はソースカツ丼であった。ソースカツ丼にはずうっと前から興味があった。どういうものなのか。トンカツにソースをかけただけで商品になりうるのか。ここに一枚のトンカツソースがあるとしますね。それにトンカツソースをかけますね。それをゴハンの上にのせますね。それを、「ハイッ。ソースカツ丼。800円です」と言って客に出したら客は、ハイ、そうですか、と言って800円払うと思います?払う何かがあるはずだ。その何かとは何か。その何かとは何かを探ろう。群馬県に行って探ろう。
・日本には「ソースカツ丼地帯」があると古くから言われている。群馬県の渋川、前橋、桐生、長野県の木曾谷の一帯がそう言われている。とりあえず前橋に行ってソースカツ丼を食ってみようということになり、「創業100年を誇る元祖ソースカツ丼の老舗」の「西洋亭・市」という店に向かう。さあ、いよいよソースカツ丼 850円と対面するのだ。トンカツにソースをかけただけのものなのか、それとも複雑な仕掛けがしてあるのか。やってきたソースカツ丼を上空から見る。トンカツが丸い。まん丸である。たっぷりソースを吸っているようだ。
そして、その下側には…何も敷いてなくていきなりゴハン、ということは、トンカツにソースをかけただけ?それで850円?恐れていたことが現実になった。ゴハンの上にジカ、これがソースカツ丼に失望したのか。というと、旨いんですね、これが。肉はわりに薄めでコロモがカリッと揚がっていてサクッと噛み切れるタイプ。そのカリッと揚がったコロモにドブっとひたしたらしいソースがじっとりとしみこんでいる。そのソースは、トンカツソースでもなくウスターソースでもなく、じゃあ何のソースだと言われると困るようなソースで、味はかなり濃い目。このソースの味だけで勝負しているカツ丼。このソースの味だけで勝負できるカツ丼。
その他、「古本屋の多さと定食屋のレベルは相関する」「正しい定食屋のあり方」「魚相学」「鼻の穴考」など。
やっぱり疲れた時には東海林さだおの文章だなあ。オススメです。(・∀・)