「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ふがいない僕は空を見た」(窪美澄)

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窪美澄さんの本ははじめて読んだ。そうかあ、そうだなあ……高校時代ってこんなカンジだったかなあ。吉野弘さんの「 I was born」の蜉蝣を思い出した。青春っていいなあ。
 
「高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが―。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R‐18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作」そのエッセンスを紹介しよう。
 
 
・おふくろの書棚にある医学書の、数々の女性器の写真がおれの性の目覚めを促した。中学生になって、とある本に書いてあった「女の子の場合、生まれたときから卵巣の中にはすでに卵子のもとになる数百万個の原始細胞が詰まっている」という文章におれはショックを受けた。ゴキブリをたたきつぶしたときに、腹の中から卵が飛び出てきたのを見るような、そんな気持ち悪さを感じた大好きだったイクラの醤油漬けが食べられなく鳴った。教室で隣に座る女子の腹にはつぶつぶの卵がびっしりと考えた途端、口のなかにすっぱいものがこみ上げてきた。半年くらいは性欲も失せてしまった
 
・いつの間にかそんなことも忘れていたのに、おれは今、松永の腹いぱいに詰まった小さなつぶつぶをふと想像してしまい、ため息をついた。男も女も、やっかいなものに体を抱えて、死ぬまでいきなっくちゃいけないと思うと、なんか頭がしびれるようにだるくなった。そのだるさを消すように、松永に激しくキスした。
 
「好きな人のこと考えていたでしょ?責めてるわけじゃないんだ。そんなこと……多分、誰だってするんだから」と言いながら、日向さんはティッシュペーパーを丸めて、ゴミ箱に投げ入れた。正直に言えば……、ぼくにも好きな子がいて、七奈ちゃんに触れながら、その子のこと考えてた。七菜ちゃんがその子だったらいいなって」

 

性描写がリアルだなあ。そうだよなあ。そうだったよなあ。あの時代のことがよく表現できたなあ。オススメです。(・∀・)

 

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