「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「井上陽水全発言」(えのきどいちろう編)

「酒場のギター弾き」の私が、もっとも影響を受けたミュージシャンの一人が井上陽水だ。(・∀・)♪彼の歌だけでも30〜40曲ぐらいはカンペキに覚えている。


「70年代半ばから現在まで、激動の世情のなかでニューミュージック界の王者として常に時代の感性の最先端に位置し、天性のヴォイスと真にオリジナル な言語感覚とで大衆を魅了してきた井上陽水という男。そのサングラスの向こう側にはどんな素顔が隠されているのか?デビュー以来20年にわたりマス・メディアに露出した発言を集大成し、韜晦のポーズとナチュラルな語り口の裏にある一貫した“たたずまい”を明らかにする、話し言葉による決定版ノンフィクション」


編者のえのきどいちろう氏は、語る。「井上陽水という人は大傑作である。有名無名を問わず、僕も随分いろんな人に逢ってきた気がするけれど井上陽水みたいな人はいない。世間ではそういう人を天才と呼ぶのかもしれない。読み物としての井上陽水は歌とは別の、優秀な娯楽なのだった。自分としてはその延長線上にこの本がある」そのエッセンスを紹介しよう。


ボクが本当の自由人なら歌なんか作らないだろう。歌を作る作業程めんどうくさくて、骨の折れる事はない。はっきりいうと、歌を作る事が嫌いだ。TVをボサーっと見ていた方が神に誓って楽なのです。


・マンガで好きなのがゴルゴ13。いいですねえ、あれは。彼は、人を信用できないんですよ。それでもなおかつ、立派に生きているわけですよ。そこに、僕の理想像がある。


中庸ってのに魅力ないです。何に魅力があるっていうとゴルゴ13の主人公。自分の感情を抹殺し、正確に仕事をやり遂げる。自分にポリシーがあるからこそ、そうなる。その冷酷さ、やさしさ。ああなりたいと思いますね。


・あの、僕の陽水という名、実はアキミと読みましてね。親父が高知で幸徳秋水の血をひいてるかなにかで、こんな名をつけたんですですから、僕も昔ふうにいうと“危険思想”に近いわけで(笑)。


・ボクが思うにね。男にとって好きな女っていうのは、“惚れない、触れない、そばに寄れない、見れない、話せない”そういう女でしょうね。これを五ナイ運動というんです。この五つさえ守っていれば、好きな女というのは、永遠に男の中にあるものじゃないですか。


・ボクは歴史の年代や漢字を覚えることでは百人中うしろから十番ぐらいだった。高校の古文などはうしろから三番目。それから、ボクは音符がまったく理解できない。メロディーを五線紙にうつしたり、五線紙を見てメロディーをピアノで再現することなんてことはできない。だからテープレコーダという文明の利器がなかったら、まったく音楽は作れない。


ボクはレコーディングがないと作れない。締め切りにせまられてつくる。ヒマなときの曲は二、三しかない。ボクはあふれこぼれるものを書き取るタイプじゃないから、“音楽の生活”はなかった。音楽を作るときは、まずメロディーを作る。それをテープにふきこんでおいて、次に辞書を見る。メロディーにピッタリあった単語をさがす。たとえば「星がキラメク」ということばをさがしだしてこれを広げていく。これが一番多い。辞書だけでなく、本でも新聞でもいい。たとえば国家公安委員会なんてことばを歌詞にのせるとヒジョーに新鮮ですね。


わが国における現行の大麻取締法がある限り、私は再びこの法を犯すつもりはございません。なぜなら、国の決定に逆らうのは悪であり、加えてその決定には国の最高の機関が使われ、可能な限りの資料が集められ、かつ吟味された結果だと私は信じるからです。(1977大麻吸引裁判・意見陳述書)


・(二年ぶりに人の前で歌うことの緊張感はありますか?)ステージに立っちゃえばね、やるしかないけど……。昔っからずっとステージ前はかならず、いやあ、またいろんな人がおれを見るのかと思うと、まいったなって思うんだよ。やっぱり大勢がおれを見ているっていうのに耐えられないんだな(笑)。なにかそういう意味じゃ、へんな仕事についてしまったなあって思っているんだよ、おれ……(笑)。


あのね、ときどきふっと、自分は何を大切にしているんだろうと思うわけよ、だれかがね、おれのなにをこわしたら、なにを侵害したら怒るのかなって考えたら、テレビぐらいしかないんだな、これが(笑)。あとはギターをこわそうがレコード燃やそうが、怒りはしないね。自分の大事にしているものがそんなに少ないというのは、非常に悲しいね。


僕はだいたい根っからのなまけ者で、どうやったら仕事をしないで楽に暮らしていけるかということを、いつも考えているんです。だから、短時間に仕事をして、長期間遊んでいられるというのが問題であって、現実的にはそれを二、三年の周期でやっていけたらと思っているんです。


音楽は、キライじゃないけれど、好きだというでもない。どちらかといえば、ボーッとやってきたという気がする。仕事だからやっているという感じも強い。もし別の仕事についていたら、音楽なんてまったくやらなかったに違いない。レコードを買う習慣もないし、ウチでレコードを聴くこともない


今、音楽をやっている人の中でも、音楽のことを知らない、音楽の造詣がない、というのはぼくが一番ではないですか。また、楽器の手入れをしない、楽器をもっていない、ギターを足でケトバしても、大変なことをした、という気がしないのも、ぼくぐらいじゃないですか。


・(あなたが尊敬する芸術家は誰ですか)芸術家なんてこの世に居るの?紹介してください。


サングラス?好きも嫌いもないですねえ、トレードマークみたいなところがあるから。ふだんは全然かけてない。かけてないとわからないみたいですよ、誰も。だから電車にも乗れるんですよ。


ぼくらの仕事は、俳優でも作家でもミュージシャンでも、いわば手品師なわけですよ。堅気の人の前でパッと鳩を出してみたり「あら、どうしたんだろう」と思わせたりする。そのためには、堅気の人が寝ているときに、どうしようか、ネタ見えてるかな。とかあれこれ考えたりするんですけどね。そうやって人前で日ごろの研鑽を披露してお金をいただくのが仕事なんです。


やっぱり陽水は天才です。どのページを読んでも惹きつけられる。オススメです。(・∀・)