全作品読破を狙っている、喜多川泰氏の本。どの作品も「読む自己啓発」だね。
さて、この本。
「おいべっさんに幽霊が出たみたいだぞ」。
小学生たちの間でそんな噂話が広がっていた新学期の初日、6年3組を担任することになった日高博史のクラスに転校生がやってくる。
石場寅之助……色あせたTシャツに袴のようなチノパン姿。伸びきった長い髪を後ろに束ねた出で立ちと独特の話し方は、クラス中の視線を集めただけでなく、いじめっ子たちとの争いも招いてしまう。まるで江戸時代からタイムスリップしてきたようだ。果たしてその正体とは?不思議な母子とは?おいべっさんとは?そのエッセンスを紹介しよう。
・一生残る傷ひとつない男の子に育てるなんて、母として、恥ずかしくてできません。身体に傷ひとつないきれいな男など、傷つくことを恐れて肝心なときに逃げてきたという証を、魅せつけて歩いているようなものでございますから。
・ケガをすることを恐れるようになっては、肝心なところで勇気が出なくなってしまいます。身体を張ってでも正義を通すときに、ケガすることを恐れて、無関心を装い逃げるような大人になってもらっては困ります。子どものうちは、毎日傷だらけになって遊ぶくらいがちょうどいいものです。たとえ腕の一本なくそうとも、守るべきものを守ることから逃げない立派な武人に育てるのが、夫との約束でございますから。
・みんながたくさん、いろんな失敗ができる場所にしよう。そしてそこから立ち上がる勇気を応援してあげる。俺の役割はそれだ。勉強だってできるようにしてあげようという意識よりも、できるだけ上手に失敗させてあげようって考えたら、いい授業ができるんじゃないか。
・この時代は、いい時代ですね。驚くほどみんなが豊かです。すべての人が、わたくしども世界の上様のような生活をしています。飢饉もない。飢え死にする人もいない。子どもが間引きされることもない。身分の違いすらない。車に乗って隣の国まで行くことも許される。どこに住みついてもいい。そして、子どもたちには無償で教育をしてくださる。そして将来は、自分がやりたいと思うことをやって、自分の好きな人と家庭を築いていいなんて…こんな天国のような国をわたくしどもの子孫は作り上げていくのですね。
おいべっさん=蛭子神社、だったんだね。小さい子どもを持つ母親に読ませたいなあ。オススメです。(・o・)!