「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「「編集手帳」の文章術」(竹内政明)

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 もう新聞を取らなくなってから10年くらいになるのだろうか。慣れてきたけど、やっぱり淋しい感はあるよね。やっぱり読売新聞のコボちゃん編集手帳は欠かせないっ!!!

 

「読書家の中で、当代随一と噂されるコラム編集手帳は、読売新聞の看板コラムである。竹内氏は2001年より6代目執筆者に就任。書いたコラムは通算2700以上。博識、時事、世相、ユーモア、涙……全てを458字にこめて、毎朝日本人の心に寄り添ってきた。今回、名文の生まれる舞台裏を初公開! 掛け値なしに空前絶後の面白さ」。冒頭のまえがきから惹きつけられちゃうね。そのエッセンスを紹介しよう。

 

「猫の水泳談義」ーはじめにー


マグロは海中を時速160キロで泳ぐといいます。生まれながらにして、泳ぐ才能を天から授かった魚です。マグロが『水泳読本』を書いたなら、泳ぐことの楽しさを教えてくれる素晴らしい本になるでしょう。


私はマグロではありません。水棲動物ですらありません。ほんとうは泳げないのに、間違って文章の海に落ちてしまった猫です。文才に恵まれぬ身で誰のいたずらか、読売新聞朝刊の一面コラム「編集手帳」を書いてきました。もう11年になります。何度も溺れかけては塩辛い海水を飲みました。自慢できるとすれば、死にもせず、いまもしぶとく水に浮いていることだけです。マグロの華麗な泳ぎはお見せできませんが、上手な溺れ方や海水を飲む要領ぐらいはお聞かせできるでしょう。身のほど知らずに泳法の講釈をすることがあったとしても、ジタバタと悪足搔きをするなかで身につけた泥くさい技術論になるはずです。それでもよろしければ、どうぞ、お掛けください。猫の水泳ショーにようこそ。


・私の「文章十戒

 

1 「ダ」文を用いるなかれ

2 接続しに頼るなかれ

3 大声で語るなかれ

4 第一感に従うなかれ

5 敬称を侮るなかれ

6 刑事コジャックになるなかれ

7 感情を全開するなかれ

8 「変換」を怠るなかれ(「さいなら」「的」)

9 遊びどころを間違うなかれ

10 罪ある身を忘れるなかれ

 

・記録的な寒波 → 記録破りの寒波 

 論理的な文章 → 筋道の明快な文章 

 情緒的な文章 → 情緒に流れた文章 

 感情的な文章 → 感情の激した調子の文章 

 科学の飛躍的な進歩 → かつての百歩を一歩にしてしまうような科学の進歩

 

「子ども」という表記は嫌いで使いません。「子ども派」には「共」の字から「お供」を連想し、大人の付属物とみなす差別意識を嫌う人も多いという。「子ども」では「ガキども」「野郎ども」「男ども」「女ども」を連想して、かえって子供に申し訳ない。それにしても「共」から「お供」を連想し、そこに差別意識を嗅ぎ取るなんて、世の中にはずいぶん心優しい人たちがいるのですね。そういう人たちはきっと、命ある存在を「物」と呼ぶことに差別意識を嗅ぎ取って「動物」を「動ぶつ」と書いているのでしょう。あのおいしくて栄養のある食べものに「腐」の字を用いるのは豆腐に対する差別と映るはずですから、きっと「豆ふ」と書いているのでしょう。

 

・引用に至る作業手順 「読書」「コピー」「ノート」「バインダー」「カード」その頭文字を取って「どこの馬鹿」と自嘲気味に呼んでいます。

 

編集手帳は短くて、苦しきことのみ多かりき」「マクラ(魅力)、アンコ(簡潔)、サゲ(余韻)」「発想は「なぞかけ」に学べ」「向田邦子の書き出し、短い、年月日から入らない、会話文から入らない」「…する機会があったの不快感」「こだわる=拘置所の「拘」る」「交ぜ書きは使わない」「比良のシャクナゲ井上靖)」など。

 

いや〜シビれるね〜。こんな文章を書いてみたいわー!竹内さんの他の本も読んでみよう。オススメです。(・∀・)

 

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