「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「駅前旅館に泊まるローカル線の旅」(大穂耕一郎)


東京都心でも、「えっ?こんなところに旅館がっ!?」という建物があるよね!?(・∀・) 私はいつもの宿泊はビジネスホテルなんだけど、一度は好奇心で泊まってみたいなあと思っているんだけどね。


さてこの本。その駅前旅館のナゾ(?)と解き明かした本なのだ。「ローカル線に乗って、ぶらり一人旅。見知らぬ駅に降り立ち駅前旅館で荷物を解いて、ホッと一息。その土地の方言に接し、人情にふれる、そんな体験ができるのが駅前旅館。一泊二食付6000円は、あたりまえ!そこには豪華な夕食も露天風呂もないが、どこか懐かしく心が和むパラダイス。かつては鉄道や地場産業の発展とともに繁昌した駅前旅館が、いまも元気に営業している姿を全国にたずね歩く 」


そのエッセンスを紹介しよう。


1950年ごろ「ホテル」はごく一部の人たちの宿泊施設であり、他の多くの人たちは、観光旅行の人たちも、仕事で出張の人たちも、都市での宿泊施設には駅前旅館を利用していた。大きな都市には大きな旅館が、小さな町にも小さな旅館が、必ずと言っていいほど鉄道の駅の近くにあった。


・しかし60年以降の高度経済成長、そしてモータリゼーションの発達は、人々の暮らしを変え、ビジネスホテル、シティホテル、ラブホテル、リゾートホテルが立ち並ぶようになり、駅前旅館はビジネスホテルに衣替えするか、客種をしぼってそのまま営業を続けるか、または廃業するかの選択を迫られたのである。


・しかし今も、列車を降り立った駅の前に小さな旅館をみつけることがある。この本はこうした旅館の生業と街の移り変わり、人々の動きをまとめてみた。「どうしてこうした旅館がこの町に存在しているのだろうか?」「いつから旅館を始めたのだろうか?」「こんな旅館がまだあるの?」僕は駅前旅館の地理学的・歴史学的・民族学的・社会学的・心理学的・建築学的…考察の旅を始めたのである。


駅前旅館の一夜を楽しむコツは、変な言い方だが、自分を客だと思わないこと。むしろ「一宿二飯」の背絵羽になると考えたほうがいい。その意味では「民宿」よりも「ホームステイ」に近いと言えよう。訪れた土地の雰囲気を知り、人々の暮らしのようすを知る「授業料」が宿泊費だと思えば、こんな安いことはない。駅前旅館には旅の楽しさの原点がある、と言っても言い過ぎではない。


・ビジネスホテルが近くの街にあっても駅前旅館を選ぶ仕事客は多いという。それは食事をキチンと食べたいからだそうだ。ビジネスホテルだと食事は別になるので、レストランや食堂での外食は出費の割に腹にたまらないし、栄養も偏りがちになる。とくに肉体労働の人は食事がすぐに仕事に影響する。だからビジネスホテルの部屋代くらいの値段で朝夕の食事が出る駅前旅館に泊まるのだそうだ。


・たくさんの駅前旅館に泊まり、様々な人たちと話を交わして、鉄道と地域社会とが深く結びついていることを改めて知ることが出来た。鉄道は地域の、社会の財産として、たくさんの人々を今も支え続けてる。


ほおー…ますます泊まってみたくなるなあ。駅前旅館から目が離せない!オススメです。(・∀・)