ウワサに聞いていたこの本、ようやく読みました。さて、「想像ラジオ」ってなんだろう!?このアイデアと着眼点が素晴らしい。
死者は無言で亡くなっていったのではない、そして死んでも語りつづけているのかもしれない。
「耳を澄ませば、彼らの声が聞こえるはず。ヒロシマ、ナガサキ、トウキョウ、コウベ、トウホク…。生者と死者の新たな関係を描いた世界文学の誕生」そのエッセンスを紹介しよう。
・この想像ラジオ、スポンサーはないし、ラジオ局もスタジオもない、僕はマイクの前にいるわけでもないし、実のところしゃべってもいない、なのになんであなたの耳にこの僕の声が聴こえているかって言えば、冒頭にお伝えした通り想像力なんですよ。あなたの想像力が電波であり、マイクであり、スタジオであり、電波塔であり、つまり僕の声そのものなんです。
・僕は高い木の上にいるんですね。町を見下ろす小山に生えてる杉の木の列の中。細くて天を突き刺すような樹木のほとんど頂点あたりに引っかかって、仰向けになって首をのけぞらせたまま逆さに見てる。まるでギルガメシュ神話の、洪水のあとの方舟みたいに高いところに取り残されています。この杉の木の上は6メートルなんてもんじゃないですよ、そんな高さまで、波が来るもんですかね?
東日本大震災を思い出す。この世とあの世ってこんな風になっているのかも。オススメです。(・∀・)