「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「日本文化のキーワード 7つのやまと言葉」(栗田勇)

もうすっかり秋。紅葉を見ると、四季の移り変わりを感じると、やっぱり日本人で良かったなあ…って思うよね。(・∀・)

さて、この本、「ありがとう」、「遊び」、「匂い」、「間」、「道」、「わびさび」、「あわれ」という7つのやまとことばを、手掛かりに日本文化の本質を明らかにした本。そのエッセンスを紹介しよう。


・日本人の心の故郷、もっとも深いところで心を開くキーワードといえば、まず「ありがとう」があげられる。こういう例がある。先日テレビを見ていると、四国八十八カ所のお遍路さんが、何カ月もかかって旅をして、最後の八十八番目のお寺に辿り着いた時、老若男女みんなが、「ありがとうございます」と、お互いに手を合わせて涙を流していた。お大師さんに言うのはわかる。

ところが、自分の隣にいる同行のお爺さん、お婆さんに向って、誰かまわずお互いに「ありがとうございます、ありがとうございます」と言って合掌して拝んでいる。私は、これは日本人の「ありがたい」という心情がよく表れている光景だと思う。今まで無事にここまで来られたというのが「ありがたい」、それから弘法大師さんの境地に自分も達せられたのも「ありがたい」、しかし、同行の人たちのお陰でもある。それがまた「ありがたい」。心情と言葉が一体化している。こういうところで「ありがたい」という言葉が出てくるところに、日本人がこの言葉の中に、どれだけ多くのものをかけているかということが表れていると思うのである。


私たちが「ありがとう」と言うのは、他人に感謝するときばかりとは限らない。たとえば、初日の出を拝んだ時、思わず「ありがとうございます」と口につくような心情がともなっている。辞書を引いて調べると、はたせるかな「有り難し」というのがある。そのようなよいことに出あうことが滅多にない、文字どおり、「有る」ことがむづかしいということである。この世に滅多にないほど素晴らしいものというのが語源なのだ。民族学者の柳田国男は、この「有り難い」をもっと煮つめて、本来は神を讚える言葉だったと述べている。いずれにしても、日本人の場合、「ありがとう」と言うときに神仏や大自然、太陽などに対する畏れと喜びというものが基本にあったわけである。