「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「あんぽん 孫正義伝」(佐野眞一)

いや〜…年末になって、今年読んだ本のベスト3に入る本に出会いました…。お世辞抜きで、感動!!!
ソフトバンクの創業者、孫正義。ここに孫正義も知らない孫正義がいる!(・∀・) 「あんぽん」というのは孫正義の日本姓の「安本」から来ているんだって。φ(..)メモメモ


「今から一世紀前。韓国・大邱で食い詰め、命からがら難破船で対馬海峡を渡った一族は、豚の糞尿と密造酒の臭いが充満する佐賀・鳥栖駅前の朝鮮部落に、一人の異端児を産み落とした。ノンフィクション界の巨人・佐野眞一が、全4回の本人取材や、ルーツである朝鮮半島の現地取材によって、うさんくさく、いかがわしく、ずる狡く……時代をひっかき回し続ける男の正体に迫る。“在日三世”として生をうけ、泥水をすするような「貧しさ」を体験した孫正義氏はいかにして身を起こしたのか。そして事あるごとに民族差別を受けてきたにも関わらず、なぜ国を愛するようになったのか。なぜ、東日本大震災以降、「脱原発」に固執するのか――。」そのエッセンスを紹介しよう。


孫はいまから55年前の昭和32年(1957)年、佐賀県鳥栖駅に隣接し、地番もないという理由で無番地とつけられた朝鮮部落で生まれ、豚の糞尿と、豚の餌の残飯、そして豚小屋の奥でこっそりつくられる密造酒の強烈なにおいの中で育った。それが、世界長者番付で例年日本人ベストテンの中に入るまでの成功をおさめた。本書はこれまで書かれてこなかったこれらの事実を徹底的に追求し、その成果をすべて盛り込んだ。孫はベンチャービジネスの騎手」という言い古された呼称をいつも冠せられてきた。このエネルギーは一体どこから来るのか。それは、孫正義にいつもまとわりついているいかがわしさは一体どこから来るのか。


・小六の小学校教師、三上喬氏。「孫くんを担任していたのは、もう40年以上も前のことです。その頃は安本くんと呼んでいましたがね。そんな昔のことですが、なぜか彼のことはよく思い出すんですよ。思い出すのは、そう、彼の目です。授業中、目をかっと見開いて、正面を見据えているんです。微動だにせずに。子ども離れしてすさまじい集中力でした。しかも、その目が澄み切っていた。邪心というものがないんです。何かを必死で学びとろうと、熱い視線を教師に向けている。そんなことを感じることなど、長い教師生活でもめったにありません。」


・久留米大附設高校に入学して一ヶ月、中三の担任の河東に孫から突然、電話がかかってきた。「先生、ちょっと話があります。実は僕は、いまから学習塾を経営したいと思っているんです。これが、僕が考えた塾のカリキュラムです。どう思いますか?僕はまだ高校生なので、経営の表に出ることはできません。そこで、先生に頼みがあります。先生、塾の責任者をやっていただけませんか?」


・父が吐血して入院した。家族の危機ですね。一歳年上の兄は高校を中退して、泣き暮らしている母を支えて、家計の収入を支えて、父の入院費、家計のサポートをする母も一生懸命仕事する。僕にとってはもう突然降って湧いたような家族の危機です。なんとしても這い上がらないといけない。どうやって這い上がるか。私は事業家になろうと、そのとき腹をくくったんです。一時的な解決策ではなくて、家族を支えられる事業を興すぞ。中学生の時に腹をくくりました…。


・久留米大附設高校一年時の担任阿部逸郎は、二学期になってすぐ孫から「先生、アメリカに行きたいんです」と告げられた。『せめて高校を卒業してから行ったらどうなんだ』と言ったんですが、彼は『それでは遅いんです。僕には時間がないんです』と、今日にでも学校を辞めたいんだというくらいの切迫した表情で言うんです。その時彼から、初めて韓国籍だということを打ち明けられたんです。『僕は本当は日本の大学に進んで教員になりたかったんです。でも、韓国籍だと、それが無理だとわかりました。でも、たとえ韓国籍であってもアメリカの大学を出れば、日本人は僕をもっと評価しれくれるかもしれません。もう校長先生には話しておきました』


・孫はアメリカに渡るとき、反対する家族にこんな大見得を切った。「俺はアメリカに行って、事業家になるタネを必ず見つけてくる。アメリカで何かをつかんで、日本に帰ってきたら事業を興し、絶対に家族を支えてみせる。それだけじゃない。いままで悩んできた国籍とか人種を超えて、人間はみんな一緒だということを証明できる立派な事業家になってみせる」


朝鮮半島から逃げるようにして玄界灘を渡り、あからさまな在日差別を受け続けてきた孫家と李家三代の歴史と、その反抗の地を胸の奥底に秘めながら佐賀/鳥栖駅前の朝鮮部落から這い上がり、世界的起業家となった孫正義の物語は、同じシリコンバレー世代に属し、アップルを創業したスティーブ・ジョブズの生涯に劣らず感動的である。


・孫はカリフォルニア大学バークレー校で、孫は自分に「一日一発明」の難題を課し、不眠不休で研究に没頭した。その結果、ついに発明した「自動翻訳機」によって一億円の資金を手にした。この天才事業家の成功の第一歩はここからはじまったのだった…。


その他、「孫家三代海峡物語」、「在日アンダーグラウンド」、「ソフトバンクの書かざる一章」、「脱原発のルーツを追って」「地の底が育てた李家の『血と骨』」、「この男から目が話せない」…など、400頁近い大作だが、一気に読ませる。やっぱり孫さんってスゴイなあ。超オススメです。(・∀・)