私の好きなスポーツライターの二宮清純氏。長年プロ野球を取材してきた氏が、各回1人の一流プロ野球選手に直接取材を行い、天才たちの内面に迫る「週刊現代」の人気連載企画『二宮清純レポート』 の書籍化。そのエッセンスを紹介しよう。
・彼はランナーが得点圏にいくとワンギア入るんです。それまでは8割の力で投げていたのが、急に10になる。(女房役の嶋基宏)
・僕は投げ込まなくても、もうフォームは固まっています。一応、プロ野球選手なので。(笑)12月と1月、たった2か月ピッチングをしなかったくらいでフォームを忘れるようなら、プロじゃないと思います。僕は小学校からずっと野球をやっていてキャッチボールもピッチングも欠かしたことがない。いまさら肩のスタミナをつけなくても充分、備わっている。だからキャンプでは肩をつくるためではなく、感覚を取り戻すために投げるんです。変化球の感覚だって、2〜3日ピッチングをすれば普通に戻ります。だから僕は投げ込みは必要ないという考えです。
内川 「イチローさん、わざと詰まらせて打つ時ってあるんですか?」
イチロー「あるよ。追い込まれた時に内角のボールをカーンとライトに引っ張ってファウルを打ったところで、ピッチャーは何とも思わないんだ。オレはピッチャーに一番ダメージを与えられるような打球は何かをいつも考えている。詰まってグシャッとなってもヒットになる。これがピッチャーにとっては一番嫌なんじゃないか」
内川 「目の前の霧が晴れた。バットの芯で打つのが一番きれいなバッティングだと考えていました。イチローさんと話したことで、時と状況によっては打ち方を変えなければならないということがよくわかった。ものすごく勉強になりましたね」
その他、「田中将大はなぜ日本一の投手になれたのか」、「中村剛也が統一球を苦にしなかった理由」など、現役最高峰の選手はやはり「天才」だった。プロ野球ファンの方、オススメです。