稀代のベストセラー作家・東野圭吾。彼の頭の中はどうなっているんだろう?コンスタントに傑作を生み出しているよねえ。さあ、最新刊がコレ。帯には、『東野圭吾という名の謎』『2013年エンターテインメント界最大のサプライズ』『東野圭吾、全身全霊の挑戦』とある。
『悲劇なんかじゃない これがわたしの人生。極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか。夢見た舞台を実現させた女性演出家。彼女を訪ねた幼なじみが、数日後、遺体となって発見された。数々の人生が絡み合う謎に、捜査は混迷を極めるが――』
結論からいうと、今回も大傑作!ラストの手紙のところで、ウルウルきてしまいました…。そのエッセンスを紹介しよう。
・「その方にはお子さんがいました。子供たちの今後の人生をあの世から眺められると思うと楽しくて仕方がないーそうおっしゃったんです。そのためには肉体なんか失ってもいいって……。きっと、加賀さんのお母さんもそうだったと思います」
・「原発はねえ、燃料だけで動くんじゃないんだ。あいつは、ウランと人間を食って動くんだ。人身御供が必要なんだよ。わしたち作業員は命を搾り取られている。わしの身体をみりゃわかるだろう。これは命の搾り滓だよ」野沢は両手を広げた。シャツの襟元から、あばらの浮いた胸が見えた。
震災、原発、原発作業員、バブル景気、恋愛、親子愛、インターネット、友情、教師と生徒、いじめ、育児放棄、うつ病、不倫…
など様々な要素を組み合わせて、傑作を編み出す。彼は天才だねえ。『容疑者Xの献身』と松本清張の『砂の器』をミックスしたような物語だねえ。間違いなく2013年最高のミステリーだね。超オススメです。(・∀・)