「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「続・大人の流儀」(伊集院静)


先月、49歳になったのだが、まだまだ大人になりきれない気がする。そんな時、ふっと目に入ったのがこの本。「最後の無頼派伊集院静氏が教える、大人として生きるための流儀。そのエッセンスを紹介しよう。



【社会には大人だけが座れる席がある】


鮨屋は子供が行くところじゃないんだ。金さえ払っていればそこに座れると思っているのが間違いなんだ。金の有り無し以前の問題だ。社会の中には、女、子供が居てはならぬ場所、席がいくらでもあるんだ。金を払っていようがいまいが、そんなことはどうでもいいんだ。例えば電車の指定席、グリーン席。そこに若い男がシートを目一杯倒してふんぞり返っているのを見ると、この大バカ者がとひっぱたきたくなる。そういう若者は「俺は指定席、グリーン券を持ってるぜ。何が悪い?」という金を払った客だという顔をする。それは断じて違う。若者は自由席に乗ればいいんだ。座りたきゃ早く起きてホームに並べればいいんだ。電車の指定席、グリーン席は子供連れが座る処じゃない。生まれたばかりの赤子なら仕方あるまいが、それでも静かに乗っていることが基本だ。指定席、グリーン席は普段、この国のために懸命に働いている大人が座る場所だ。仕事に疲れている人もいれば、考えごとをしている人もいる。そこでママ、ジュースとか通路を走られたら、普通は手をつかんでひっぱたかれても仕方なかろう。



【大人が酒を呑みたくなるとき】


酒は呑む人と、呑まない人がいる。酒を知らずとも生きていけるし、無理に呑むものではない。私の周囲にも下戸は大勢いる。しかし私は酒は少し呑めたほうがいいと思っている。なぜか?仕事や祝宴でともにほろ酔いになり喜びを分かち合えることもひとつある。私の考えでは、酒が一番、その力を、恵みのようなものを与えてくれるのは、祝事の、幸いの逆の心境の時である。私は若い時代に近しい者との死別に遭遇した。弟と妻、友も何人かいた。皆純粋な人間であり、人生の楽しみにこれから出会おうという年齢だった。私はのっけから悪党だったから、彼等、彼女の死を、なぜこの人達でなくてはならなかったのかと、人の運命が納得できなかった。眠れない夜もあった。そんな時、酒は、振りあげたい拳を、棘だかけの感情を受け入れ、ゆっくり気持ちをやわらげてくれた。ーあの時、酒がなかったら……と今でも思う。一杯の酒で、ほろ酔ったやわからなひとときで、どれだけの人が救わられたのかと思う。しかも美味い。


【幸福のすぐ隣に哀しみがあると知れ】


毎日、新聞に、岩手、宮城、福島の各県の亡くなった方の名前が掲載される。行方不明で発見された人たちだ。私はその欄に載る名前と年齢をすべて読む。それはこの震災がどういうものかを自分で肝に銘じておくためと、その名前の中に、もしやと、自分の知人やその家族がいないかをたしかめるためである。大人にとって恥ずかしいことのひとつに迂闊な行動をすることが挙げられる。相手が悲しみの淵に、喪に服しているのにも気付かず、礼を外す態度を取ることが人間にはある。世の中というものは不幸の底にある者と幸福の絶頂にある者が隣り合わせて路上に立つことが日常起こるものだ。だから大人はハシャグナというのだ。


その他、鮨屋に子供を連れていくな」「花見を自粛するのは間違っている」「高収入のスポーツ選手がそんなに偉いか」「若い時期にだけ出会える恩人がいる」「男は死に際が肝心だ」など。なるほど…これが大人かっ!!!オススメです。(・∀・)