「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「すきやばし次郎 鮨を語る」(宇佐美伸)

日本が誇るミシュラン三ツ星の寿司屋の名店、すきやばし次郎。当然ながら行ったことはありません、食べたことはありません。(笑)

だからせめて本だけでも読んで理解しちゃおう!七歳の時に奉公に出され、小学生ながら出張料理を任されたという世界最高峰の職人・小野二郎氏が語る寿司とは?日本料理とは?そのエッセンスを紹介しよう。


いったいウマイ鮨とは何をもってウマイといえるのか?二郎さんの鮨はウマイ。確かに旨い。僕はそう断言する。だが、そもそもなぜ二郎さんの握る鮨は旨いのか。生の近海本マグロを手始めに極上のネタをそろえているからか。コハダの大きさや身質に応じ、秒単位で締め加減を変える下仕事の確かさゆえか。車エビやタコに人肌の温もりを残すため、来客ごとに茹でたてを供する気配りの賜物か。あるいは人間ロボットとも評される、二郎さんの正確無比な握りの結晶なのか。


・「八十歳をとっくに過ぎた今が、実は生涯で一番鮨を握っている数が多いなんて。全く想像もしていませんでした。だいたい一日三十人から四十人のお客様へひと通り握らせていただきますから、最低で六百貫、多い日だと八百貫になります。十年前の三倍以上の仕事量ですが、全然疲れませんね。だって鮨職人は鮨を握るのが商売ですから。ビシッと背筋を伸ばしてタッタって握っている時がやっぱり楽しい。不思議と握っている時が一番リラックスしているし、いくら握っても肩や手首は凝らない。腰にも来ない。これが自然体っていうやつなんでしょうね。」


・「うちは純粋に握りだけを楽しんでもらえる店でありたい。お鮨は握り立てが一番おいしいんだし、それをつけ台に放っておいたら握りが乾いて味がいちるだけ。だから握ったらすぐ食べていただきたいし、「おまかせ」全体のメリハリを味わっていただくには、やっぱりお客様にもリズムで食べていただくのが一番だと思うんです」


・二郎さんの握りを通して、僕は二郎さんそのものを食している気がするのだ。鮨は人を食う。料理を作る人と食べる人がいろいろな意味でこれほど近い外食空間は鮨屋しかない、と僕は思う。何しろ赤の他人が目の前で、それも素手で酢飯を取り、握り、そのまま置くのだ。食べる側からすれば、意識するしないにかかわらず、その握り手に寄せる暗黙の信頼感こそ、鮨の味の最後の決め手ではないか。


・「三つ星そのものの感想は、ひとことで言えばナシ。本当に特別な感想は何もないんです。そもそもうちの店はミシュラン向きじゃないんですね。店の空間自体が狭いし、トイレもビルの共用だし、カードは使えないし、ワインも置いてない。居心地の良さや快適性を重視するミシュランの基本方針とは合わない。私らのような客商売って、ある意味自己満足の世界なんです。私にとっちゃあ、どれだけ与えられた仕事を手抜きせずにきちんと全うできるか、これに尽きると思っている」


・店の名前をご常連に相談したら「自分の名前をつければ据わりがいいし、満足だろう」ってことになった。しかしながら本名の「二郎」じゃあ、ただの二本線でしょう。それじゃあ看板の文字があまりに寂しくなりはなりはしないかと、そこは一生懸命ない知恵を絞りまして「次郎」で良かろうと思いついた。ところが銀座に割烹で既にあるというんで、ビル前の交差点でおなじみの数寄屋橋をつけちゃえと。ただし読みにくいからこの際ひらがなで行こう。氏最終的に落ち着いたのがすきやばし次郎です。

一生に一度でいいから食べてみたいものだね。オススメです。(・∀・)!