この本にはビックリした。江戸時代に「押込」という行為があったことをご存知だったろうか?私は知らなかった…。(゜o゜)
「御身持宜しからず御慎しみあるべし」−主君の悪政・不行跡に対して家臣団が執る最後の手段「押込」=主君の強制的隠居。君臣団の上下秩序が絶対の近世武家社会において、遊蕩・大酒あるいは専制に走る主君は、家臣にとって憂慮すべき問題であった。第10回(1988年) サントリー学芸賞・思想・歴史部門受賞。そのエッセンスを紹介しよう。
・本書のテーマは、近世の大名諸家でいきた主君「押込(おしこめ)」の問題である。それは家臣・重臣たちが主君を幽閉し、強制的に隠居−廃位させる行為である。それ故にこれはまた「押込隠居」とも呼ばれていた。この問題がアカデミックな観点から取り上げられることなく放置されてきたのは、一連の自体が秘密裡に進行し、その解明には多くの場合、根拠の不確かな資料によらねばならないという特異な正確によるところが大きいであろう。
・原著刊行時(1988年)においては、「押込」という行為が江戸時代の武家社会に広く存在していたということ、さらにそれらが謀叛や御家乗っ取りではなくて、家老・重臣たちの職務権限に基づく正当行為であるという事実認識、それ自体が学会おいても論争のまっただ中にあったという背景がある。
・主君「押込」問題なるものは、それが発生したにしても、大名家の公式の記録にその次第が明記されることはまずない。その性格からして、直接的な関係資料を残さないということ、そしてそれに比例するように、事件についての様々な風聞・憶測が飛び交い、後の時代に脚色された諸資料が算出されていく。
…いや〜驚いたなあ…。江戸時代のイメージや常識がくつがえされたなあ…。(゜o゜)超オススメです。