「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(増田俊也)

 

このブログを始めて七年、約2200日続けてきた。年間300〜400冊本を読む私の中で最高傑作の本と出会いました。(°_°)感動!震えた!一気に読んだ!泣けた!(T_T)


昭和の巌流島」と呼ばれた戦いで力道山と戦った、十五年間不敗の「鬼の柔道木村政彦七段。私は、梶原一騎の「男の星座」ではじめて知った事実だ。


実は、この試合は引き分けというシナリオが書かれ、あらかじめきまっていたのだ。しかし、結果は、力道山が裏切り、木村を叩きのめした。力道山の謀略によって木村が失ったものは、あまりに大きかった。柔道を命を賭けた武道としてとらえ、その世界でトップ中のトップを獲った木村にとって、全国民の前で恥をかかされたことは、力道山を殺すことによってしか償われないことだったのではないか。あの試合は、鬼の異名をとった木村にとって、それほ大きなものではなかったのか。

六十九連勝の双葉山と並ぶ国民的スター・木村政彦。戦後プロレス史、いや戦後スポーツ史最大の謎とされるこの戦いはどんなものだったのか?そして木村政彦とはどんな柔道家だったのか?そのエッセンスを紹介しよう。




天皇制だった戦時、柔道人口が現在の何十倍もいただろう時代にトップ中のトップを獲り、十五年間不敗、そしてまさに天皇制の象徴である天覧試合も圧倒的な強さで制した「鬼の木村政彦」のステイタスは、現在では考えもできぬほど高いところにあった。


・パワーと技術だけではない。特筆すべきは一日十時間を超える驚異的な練習を続けた、強さを希求する精神性だ。練習中に、投げられたわけではなく、ただ膝を畳に着かされただけで悔しくて眠れず、深夜、包丁を持ってそ相手を刺し殺しに行き、ぎりぎりで思いとどまったこともある。木村は、柔道を、スポーツではなく、命を賭した武道としてとらえていた。


・松本保市(昭和二十三年全日本選手権優勝)


講道館柔道の歴史で化物のように強い選手が四人いた。木村政彦、ヘーシンク、ルスカ、そして山下泰裕。この中で最も強かったのは木村政彦だ。スピードと技がずば抜けている。誰がやっても相手にならない


遠藤幸吉


強いなんてもんじゃないよ。木村さんの強さは別格です。組んだ瞬間、石みたいに硬くて動かないんです。巨大な岩です。岩と組合っているんだからまったく動きませんよ。一センチも動かないんだから。スピードもそうだけど、とにかく切れ味がすごいんです。日本刀でズバッと斬られるようだった。大外刈りはもう凄いなんてもんじゃない。受け身が取れないんだから。頭打って失神しちゃうんだから。寝技だってもちろんめちゃくちゃ強い。こっちは人形みたいなものです。オモチャですよ。あんなに強い柔道家はあの後一人も見たことがない。ほんとうに相手を殺すつもりでやっている柔道。生きるか死ぬか、そういう精神が木村さんの身体から発散されていました。本物の柔道、本物の武道です。木村さんは殺し合いに使う技として鍛えられたものです」


大山倍達


木村政彦は凄い。あんな凄い男はいない。ずっと私の憧れだった。あんな強い男は絶対にもう出ない



・今、総合格闘技の大会を観るたびに思う。リングで木村政彦力道山を、堂々真剣勝負で闘わせたかった。私はあえて断言する。あのと、もし木村政彦がはじめから真剣勝負のつもりでリングにあがっていれば、間違いなく力道山に勝っていたと。決め技は、もちろ得意のキムラロックである。



・深夜に座禅して精神を統一していると、額に「」という文字と「」という文字がしきりに交錯しだす。何時間も何時間も座禅を続けるうちに、最後は「勝」の文字が金色になって額に燦然輝いてくるようになったのだ。九時間を超える乱取り量と、深夜の凄まじいウェイトトレーニングで、もともと怪物的だった木村の肉体はさらに脱皮し、。さらに大きくさらに強くなっていく。78キロだった木村の体は80キロを大きく超え、巨大な筋肉に包まれていく。


・ある拓大OBに木村政彦VS力道山の試合ビデオを見せたときのことだ。そのOBは、途中立ち上がって画面上の力道山に激怒しだした。もし力道山が生きていれば間違いなくこのOBはその足でタクシーに乗って力道山のもとに走り、半殺しめにあわせていただろうというほどの怒りだった。それほどあの試合で力道山がやったブック(台本)破りは醜いものだった。騙し討ちで鬼の木村に全国民の前で恥をかかせている。



ラスト3ページ。木村政彦の直弟子の岩釣兼生木村政彦の妻、斗美、そして総合格闘技石井慧とのシーンは泣けた…。



だから書く。木村の名誉のために、岩釣の名誉のために、拓大の名誉のために、そして全柔道家の名誉のために。」からの文章は特に泣ける…泣けた…。(T_T)


その他、 嘉納治五郎が目指した柔道とは?」「力道山はオレが殺した」「柔道史から消えた二人の天才・阿部謙四郎と野上智賀雄の悲劇」「講道館柔道と武徳会柔道、高専柔道」「負けたら腹を切る」「プロ柔道崩壊の本当の理由」「妻に送った抗生物質」「エリオ・グレイシーの挑戦」「もう一人の怪物、力道山」「大山倍達の虚実」など、700ページもの大作だが一気に読める。男が男に惚れた。「鬼の木村政彦」あなたが、史上最強の格闘家だ!絶対読むべし!超オススメです。。・°°・(>_<)・°°・。