戦後の日本のヒーロー、力道山。私が生まれた年にはもう亡くなっていたので、直接は見ていないが、その名も活躍も知らない人はいないだろう。
私は梶原一騎や大山倍達、木村政彦のエピソードなどでよく知っていたがこの本は夫人が書いた等身大のナマの力道山像が綴られている。そのエッセンスを紹介しよう。
・手術室に運ばれる私に向かって「敬子、先生に言っておけ。どんなに金がかかっても、どんな薬を使ってもいいから……。死にたくないんだ、最善の治療をするように先生にお願いしておけよ。おれは死にたくない……」それが夫・力道山の最期の言葉になるとは夢にも思いませんでした手術直後に「手術は成功しましたから、大丈夫です」と先生から聞いていましたから。あの言葉はいったい何だったのでしょうか。
・新聞や週刊誌にはよくお酒を飲んで暴れたとか書かれているでしょう。実はこれは『力道山は酒が強い』というイメージを持たれていて、そのために世間に向かってパフォーマンスを演じているにすぎないんです。本当は酒が弱く、あまり好きじゃないんです。でもファンの手前仕方がなかった。素顔の力道山は決して暴れん坊ではなく、とても繊細で自分の立場を心得た本当に頭のいいレスラーです。
・夫・力道山との生活は結婚式から数えて193日。あまりに短いものでしたが、私には一生忘れられない何十年以上にも感じられるほど中身の濃いものでした。中でも最大の思い出は娘の浩美ができたことです。もう一度結婚できるのなら「あなたと今度は1日でも長く暮らしたい」と心の底からいまも思い続けています。男の優しさ、厳しさ、人間としての強さ、弱さを併せ持った素晴らしい人でした。
「3本の指に秘められた真実と死の真相」「一夜にして「シンデレラガール」といわれてー出会いから婚約、結婚、新婚旅行へー」など。
ああ…ナマの力道山、見たかったなあ…。格闘技ファン必読。オススメです。(╹◡╹)