「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜『たかが江川 されど江川』(江川卓)


私、世代は、江川卓の凄さを知っている。松坂、ダルビッシュ…多くの名投手がいようとも江川の凄さは伝説となっているよね。こんな本が出ているくらいだから。(^<^)


BOOK〜怪物・江川卓はなぜ史上最高なのか!…『真実の一球』
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20100210


さて、この本はその江川卓の自叙伝だ。父親の影響、小山高校から作新学院への志望変更、甲子園と早慶戦、「雨に散る江川」、慶應受験失敗と法政進学、小林繁との確執、二十勝裏話、引退を決めた一球…など。野球ファン、江川ファンならずとも目が離せない一冊。そのエッセンスを紹介しよう。




「たかが野球」かもしれないが、僕には「されど野球」だった。今にして思う。もし僕が、投手として人間として自分を信じることができなかったら、この九年間の野球生活を乗り切ることはできなかったと。この本の題名にはそんな僕の思いがこもっている。子どもの頃から憧れたプロ野球の世界から引退した今、はじめて僕は、自分自身の言葉で本当の「江川卓」を語ろうと思う幼年時代のこと、「空白の一日」をめぐる出来事、記憶に残る一球のこと、そして家族のこと。


・菊池正子さん(正子夫人)へのアプローチの言葉。「手紙をエアメールで出すときの、アドレスの書き方がわからないんですけど……」


最後まで治らなかったのが、試合に対する粘りのなさだ。土壇場でリードしていて、追いつかれると、もう踏ん張れない。必ず逆転されてしまうであろう自分が、同点にされた時点で見えてしまう。ポーカー・フェイスに見せながら、落胆の度合いが、実は大きいのである。どうしてもこの踏ん張りのなさを治せなかった。


・(記者より)
我々記者は個人的趣味はさておいて、常に江川に密着していなけれればならない。遠征先で江川がいつもお茶を飲む喫茶店は必ず調べていて、江川が顔を出しそうなときは、のぞくのが仕事だった。いつも何人かの記者が集まって、お茶飲み会となる。話の内容はほとんど野球に関係ない雑談だ。、だが、雑談の中に江川の思考法が垣間見えたり、またポロっと口をつく言葉に彼の野球観や人生観を知るヒントがあるのだ。

そんな具合で番記者からすれば、江川とお茶を飲むことは取材の一環なのに、さて会計となると、必ず江川が伝票をつかむのである。取材なのだから、江川に払わせるわけにはいかない。取材記者は取材対象として、守らなければならないスタンスというものがある。だが、我々が「きょうはオレたちにもたせてくれ。そうでないと困る」といくら申し出ても、江川は首を振ってこういうのだ。

「いいよ。オレの方がみんなよりたくさん給料もらってるんだから。もしオレが将来メシが食えなくなったら、そのときメシを食わせてよ。こういう関係が365人と持てたら、一年に一人一回、それで生きていけるんだから」

おごられっぱなしもイヤだ。そこでいつものメンバーが一人数千円ずつ出しあって買ったのがネクタイ。それを贈られて、江川は感激してくれたらしい。それぞれの自宅に正子夫人直筆の礼状が二日後に届いた。仕事柄いろんなプロ野球選手とつきあっているが、江川は、いつも自分のお金をつかい、さらに贈り物をされたりすると必ず礼状をよこす。そこに形式主義ではない人情を感じるのだ。金額ではない「気持ち」の部分では同等意識を持たせてくれる男なのである。


・去年、野茂(近鉄)が出てきたよね。たくさん三振をとる。凄い。でもそれだけなわけだよ。その点江川卓というのは勝って叩かれ、負けて絵になり、引退して実業家になってもああだこうだと言われ、本人は嫌かもしれないけど見ている者にとっては本当に多機能で高級なおもちゃだという気がする


江川はやっぱり監督をやって欲しいよね。オススメです。(^<^)

たかが江川されど江川

たかが江川されど江川