「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜『マンガの遺伝子』(斎藤宣彦)

マンガの遺伝子 (講談社現代新書)

マンガの遺伝子 (講談社現代新書)

小学校の頃、父親がお金を出して週間少年マガジンを家族中で読んでいた。当時は130円。「おれは鉄兵」「空手バカ一代」「釣りキチ三平」「天才バカボン」「デビルマン」「野球狂の詩」「三つ目がとおるなどが連載されているマガジン黄金時代だった。


この本はマンガの歴史、変遷、つながりなど、受け継がれてゆくことを重視し、「遺伝子」という言葉に託した漫画論。その中でも昔、夢中になった、「包丁人味平のくだりを紹介しよう。



包丁人味平 1 (集英社文庫(コミック版))

包丁人味平 1 (集英社文庫(コミック版))



牛次郎作、ビッグ錠包丁人味平」(73〜77)の冒頭は衝撃的で、日本料理の名人である主人公の父、塩見松造が、魚の活け作りをしている。頭と骨だけになった魚に衝撃をあたえ水槽に戻すと、魚が体(骨)を左右に振って泳ぎだすのだ。料理が科学を超えた瞬間であった。生命を失っても生体反応があることもないわけではないが。水中の一点に留まった後に泳ぎだすというのはマンガ的な詐術・トリックである。連続した映像ではなく、コマごとに見せるマンガの特製をうまく利用したシーンであった。


さて、この父に反発して跡を継がずに家を飛び出し、みんなに愛される大衆的な料理の世界で活躍しようとするのが主人公・塩見味平である。キッチンブルドッグで北村チーフのもと、コックとしての修行の日々。素早くタマネギを剥き、キャベツの千切りのスピードを上げていく。やがてあるコックとの行き違いから、上野不忍池前の包丁塚という場所で「包丁試し」なる公開対決を行うことになる。水を張った桶に浮かべたキュウリを、水面を揺らさずに縦に真っ二つに切るなど、包丁修行を重ねて、味平は対決に臨む…。


これは公の場で対戦相手のいる「公開料理バトル」である。課題が出され、制限時間内に料理し、味を判定する審査員がいて勝利者が決まり、料理の過程と審査の実況中継も行われるというこのスタイルは、以後、この作品ではもちろん、多数の料理マンガで多く描かれることとなった。90年代ではTV番組料理の鉄人で、現実化する。


この包丁塚でのバトルは味平の勝利に終わる。味平は続いて熱田神宮境内での点心礼勝負、焼津の新磯野板場で荒磯勝負などを制するが、圧巻は、作品後半の「カレー戦争」であろう。


懐かしいねえ〜!あの「ブラックカレー」は本当に食べたくなっちゃったよね〜!!!(^ム^)



その他「スポ根誕生」、「ギャグマンガはいつ成立したのか」、「アシスタント経験が作風を決める!?」「野球マンガの魔球が料理マンガを生んだ?」など、日本が世界に誇るマンガの一代叙事詩だ〜!オススメ!(^。^)