- 作者: 森信三
- 出版社/メーカー: 致知出版社
- 発売日: 2011/09/16
- メディア: ハードカバー
- 購入: 5人 クリック: 12回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
この本は、女子師範学校での授業を収録。人生の真理に精通する森先生の授業テーマは、「返事」「苦労と人間」「結婚生活の厳しさ」「お金の賃借」など日常生活の基本から人生哲学まで、シンプルだが、実に奥深い。そのエッセンスを紹介しよう。
・今日は「ハイ」という一語が一体どれほど深い意味を持っているか、というようなことは、平素あまり考えていないかもしれません。そかしわたしくの考えでは、人間の人柄というものは、大体その人が、他人から呼ばれた際のこの「ハイ」という返事の仕方一つで、大体の見当はつくかと思うのです。
それと申すのも、その人の名前を呼ぶということが、その人の全人格に対する呼び掛けであるように、これに対する「ハイ」という返事もなるほど言葉としては、ただの一言ですけれど、これまた、全人格の発露でなくてはならぬわけであります。実際人間の第一印象は、返事の仕方いかんによって決まるといってもよいわけです。それゆえこれまではとにかくとして、これからは、いつも返事のことをうっかりせず、ぼんやりした返事でなくて、いつもその時その場における自己の全人格をこめた返事をするように努めていただきたいと思います。明るくて、しかも爽やかな返事というものは、ひとり自分のみならず、周囲の人々の心をも明るくすがすがしくするものです。
・そもそも癖というものは、実に恐ろしいものでありまして一度癖になったものは、なかなかちょっとやそっとの努力くらいで直るものではないのです。つまり自分にも悪いと気づきだしてからでも、いざその場になると、ついヒョコリヒョコリといつもの癖が出るものです。そこで躾とは、一面からいえばこれまで浸み込んだ悪い癖を、根こそぎ抜き取ってしまうとともに、その代わりに立派な良い癖を、しっかりと植えつけることだともいえるでしょう。
・現実の結婚は、この人間界のうちでも、最も複雑かつ微妙な対人関係といってよく、しかもそれがこれまで全然知らなかった未知のひとり対ひとりの対人関係であって、それは言わば蜘蛛の巣の張りめぐられている真っただ中へ、素っ裸で飛び込むようなものであります。かく考えてきますと、結婚生活というものが人生においていかに重大な意味を持ち、またいかに厳しいものかということが、多少はお分かりになったと思うのであります。
改めて背筋が伸びる気がする。名著だ。おススメです。(^^♪