- 作者: 米原万里
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/08/17
- メディア: 新書
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この本は、最初で最後の爆笑講演集なのだ。結論からいうと、「人はコミュニケーションを求めてやまない生き物である」という信念に貫かれているんだけどね。そのエッセンスを紹介しよう。
・私はあらゆる男を三種類に分けています。皆さんも絶対そうだと思います。第一のAのカテゴリー。ぜひ寝てみたい男。第二のBは、まあ、寝てもいいかなってタイプ。そして第三のC、絶対寝たくない男。金をもらっても嫌だ。絶対嫌だ(笑)。皆さん。笑ったけど。ほんとうはそうでしょう。大体みんな、お見合いのときって、それを考えるみたいですね。男の人もたぶん、そうしていると思いますけれども、女の場合。厳しいんですね。Cがほとんど、私の場合も90%強。圧倒的多数の男とは寝たくないと思っています。おそらく、売春婦をしていたら破産します。大赤字ですね。
・女のほうが男を見る目は厳しいの。時々、甘い人もいるけれども大体厳しいですね。なぜなのか。自分がおなかを痛めて産んで、ある程度まで育てるから、絶対に健康で強い子が欲しいのです。女は優秀な子が欲しいんですね。だから、相手を選ぶときの質の追求は女のほうがすごいんですよ。
・世界的ベストセラーとなった物語、何世代にもわたって語り継がれていたような物語です。こういう物語は決まって同じパターンを踏んでいるんです。それはどういうパターンかというと、主人公の男が多数の女を遍歴していく。女漁りをしていく。いろいろな女とセックスしていくという話が圧倒的に多いんです。世界最古の小説、「源氏物語」「ドンファン伝説」「好色一代男」もそうですね。
・女が主人公である世界的名著の物語。これを皆さん、思い出して下さい。「かえるの王子」にせよ「竹取物語」にせよ、女の幸せのパターンというのはお姫様という形に出てきますが、お姫様にはたくさんの選択肢があるというのが幸せなんですね。お姫様の婿選びのために、国中から若者たちを集めて技比べをさせます。その中でいちばん優秀な技比べの勝者とお姫様が結婚するという物語が、圧倒的に多いのです。つまり、国中から男を集めて。若者を集めて…結局、一人を選びます。女はたった一人の男を理想とするパターンが、とても多いんですね。
・ところで、気づきましたか?男児の出生率はどんなに低くても常に50%以上なんです。これは世界中、どの民族でも同じです。人間を含むほとんどの生物は。もともとメスに比べてオスのほうがたくさん生まれてたくさん死にます。出生率、死亡率とものオスのほうが高いんです。
・1960年代に旧ソ連アルメニアのゲオダキャンという理論生物学者が男はサンプルだという論を雑誌に発表しました。女の子の皆さんは自分の周りの男の子のことを思い出して下さい。男の子たちは自分をサンプルとしてちょっと見直してみてください。周りでいちばん背の低い男の子といちばん背の高い男の子のあいだの身長差、いちばん背の低い女の子といちばん背の高い女の子との身長差、こういった差はきっと、男の子のほうが大きいと思います。つまり多様性があるんですね。
・世界一背の高い人とか、世界一低い人とか、世界一低い人とか、世界一体重の多い人とか、こういった人たちはほとんど男ですね。マニアとかおたくとか、さらに性格異常者とか異常な犯罪を犯す人などは圧倒的に男が多いんです。これはおそらくサンプルとして幅が広いからでしょう。サンプルであるならば、なるべくいろいろなタイプがいた方がいいわけです。人類は環境の激変で、いつどうなるかわかりません。もし、みんな同じタイプだったら、同じ条件で全員で滅びてしまうでしょう。でも、生き延びなければいけないから、保険として同じようにいろいろなタイプがいるわけです。
そうです…男は女に叶いません…異議なし…。(^^ゞ