佐藤義則 一流の育て方 ダルビッシュ有 田中将大との1600日
- 作者: 永谷脩
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/12/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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・球界にプロフェッショナルなコーチは少ない。コーチング技術だけで評価できるとすれば、打撃部門では、往年の青田昇、山内和弘、中西太の各氏くらい。投手に関しては、山田久志、権藤博、尾花高夫の三氏。そして現役バリバリの投手コーチといえば。これはもう佐藤義則をおいて他にはない。「コーチ・佐藤義則」は、オリックスを振り出しに、阪神、日本ハム、楽天と渡り歩いてきた。だがしかし、そのどれをとっても「縁故」での入団はない。すべてがコーチング術を請われてのものだ。実際のところ、佐藤の実績は申し分ない。行く先々のチーム防御率を上げ、さらには、日ハムのダルビッシュ、楽天の田中将大を成長させた。それはコーチング技術でありその卓越した投球理論であり、経験に打ち出された説得力であり、誰にの媚びない中立性だ。しかし、ある意味、いちばん大事なのは、「きちんと叱れるコーチ」であったことかもしれない。
・コーチとして進言はするが、選手交代の決定権は監督にある。客観的状況を報告するのはこちらでも、判断をするのは監督の仕事。正しい判断ができる材料を監督に提供するのがコーチの役割だと思っている。
・一度、体で覚えたものは一生忘れない。中途半端にやると、体のどこかを壊してしまうこともある。どうせやらなくてはいけないのなら、徹底的にやろうと選手には話している。
・いくら煙たがれようが、もっとうまくなってほしいという思いは、必ず選手に伝わるものだ。
・選手には、なぜこの練習が必要か、それによって結果はこうなる、だからやってみよう、ときちんと説明しなければいけない。われわれの仕事は選手と話して理解して納得してもらわないと先に進まないから。
・今まで見てきたピッチャーの中でも、ダルビッシュの器用さは群を抜いている。指先が器用で柔軟性があるために、すぐに新しい球種を覚えてしまうのだ。
・松坂は素質だけで投げているから、その日の調子によって好不調の波が激しい。正しいフォームを知らないんじゃないのかな。あれだけつっ立って投げて入れがコントロールは安定しない。あの素質があってフォームがよくなれば。もっともっと勝てるはず。そのためには投げ込みが必要なんです。確かに、メジャーの連中が言うように肩が消耗品というのもわかる。しかし、肩の骨が削られるのは悪い投げ方だからであって。そっちの方が問題。第一、消耗していうとしても、何年かかるというのか。20年も実働できれば十分だし、肩の消耗よりも、しっかり練習しないで結果を残せず翌年クビになる選手の方がよっぽど多いんだから。
・投手においては筋肉が逆効果ということもある。投げる筋肉というのは、投げ込んでいかないと絶対にできない。投げ込みで肩を壊したヤツはいない。いたとすれば、投げ方が悪かったからだ。
・どんなにベテランあろうと、結果を残していようと、いま現在の自分のフォームがどうなっているのか、きちんとわかっている投手はいない。
・コーチの能力は、「観察力」「問題発見力」「説明力」に尽きる。
・今の選手の何よりの目標は、プロ野球選手としてできるだけ長い間プレーしたい、というものなんです。長く野球をやりたいがために、肩を消耗させたくないと、投げ込みを嫌う選手もいる。だけど俺は、投げ込んできたから22年も現役を続けられた。だからこそ肩は消耗品という考え方を自信を持って否定できる。長く現役を続けたいから自己流を捨てコーチの指導でフォームを作りなおした。
・投手コーチというのは、特殊技能が必要な仕事。選手を観察してその特徴を記憶しなければならない。相手の質問に即座に答えられる高い技術理論がなければならない。不調をピンポイントで指摘して、選手を納得させなければならない。実は、これをやれるコーチがなかなかいないから、重宝してもらえるのだと思う。
なるほど!パ・リーグの投手の防御率のトップに楽天の田中将大投手が躍り出たのは偶然ではなかったんだね。経営者や管理職の方には特にオススメ!(^u^)