「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜知られざる実像と本音…『戦場カメラマンという仕事』

戦場カメラマンという仕事 (洋泉社MOOK)

戦場カメラマンという仕事 (洋泉社MOOK)

昨年からテレビで大活躍の戦場カメラマン、渡部陽一氏。(^u^)彼の存在で戦場カメラマンという職業を知った人も多いのではなかろうか。


戦場カメラマン 渡部陽一 公式サイト
http://yoichi-watanabe.com/index.html


この本は、その知られざる戦場カメラマンの実像と本音を書いた本。グラビアの「戦場カメラマンが撮った歴史の激動の瞬間」も生々しいのだが、なぜ危険を冒してまで戦場に向かうのか?どのようにして戦争写真ができるのか?現地取材の方法などが書かれているのだ。その中でも印象に残った文章を紹介しよう。


宮崎茂樹インタビュー


報道写真の中でも、戦場写真家は最高峰ですよね。別格です。いつかは戦場カメラマンとして頂点に立ちたいと考えるのは当然の感覚だと思います。ボクサーが世界チャンピオンを目指したり、力士が横綱を目指すのと同じです。


・この現場に行こうとか、これはやめておこうという判断の基準は、カネになるかならないかですね。プロなら当然のことです。ただ、行ってもうまくタイミングが合わなくて、ものにならないこともたまにはあります。けれども、行かなくて後悔するよりは空振りのほうがマシですから、判断に迷ったときにはなるべく行くようには心がけています。戦場取材に限らないですが、報道カメラマンは、とにかく他人より早く現場に入らないといけない。「弾ける」瞬間にその場にいることが大事で、それさえうまく行けば、ビジネス的にも成功したも同然です。


・写真を持ち帰り、発表してカネに換えるのが仕事ですから、ケガをせずに、必ず五体満足で帰ってくることです。言い換えれば、危険な現場では臆病でいることがとても重要なんです。


渡部陽一インタビュー


・もっとも厳しい現場はアフガニスタン南部のカンダハール州での取材です。タリバンとの戦闘の、それこそ最前線を回る部隊です。一番長い日には10時間くらい歩き、途中山の上で野営もします。そのときは寝ませんでした。兵士たちも夜通し起きています。山の上で警戒したままそこで、朝を迎えます。翌日はベースキャンプに戻って、そこでやっと寝ます。そこはタリバンの本拠地ですから、それくらい危険ということです。


・強盗や悪徳軍人などに、本当に撃たれるかもしれないと思ったことは何度もあります。このまま死ぬのかと思ったことも。でも、抵抗は基本的にはしません。持っているものは全部だします。命があってなんぼですから


世界のニュースの最前線にいる、という実感はあります。目の前で世界史がぐるぐる動いている状況を目の当たりにしているという感覚ですね。そういった充実感も取材の原動力のひとつになっていることは否めません。とくにイラク戦争のときはそうでした。非常に気持ちが高揚しました。



その他、「現役カメラマンの戦場取材体験」「戦争ジャーナリズム業界事情」「戦場に散ったカメラマンたちの物語」はスゴイ。思わず一気に読んでしまう。オススメです。(・_・)