- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/03/10
- メディア: 文庫
- 購入: 20人 クリック: 267回
- この商品を含むブログ (469件) を見る
BOOK〜爆笑スポーツエッセイ!…『延長戦に入りました』(奥田英朗)
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20081020
BOOK〜究極のくだらなさ&下品さに爆笑!…『ララピポ』
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20081006
「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったボサボサ頭でマザコンの精神科医・伊良部一郎。胸には医学博士のバッジが。
そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症で局部が勃ちっぱなし、妄想癖、ケータイ中毒の中学生、強迫神経症…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。なぜなら伊良部は「とりあえず注射を打っとこうか」が口ぐせ。看護婦のマユミちゃんは、露出狂…。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。患者との会話のやり取りをひとつ紹介しよう。
「先生、私はカウンセリングを希望しているんですけどね」
「カウンセリング?無駄だって。そういうの」
「無駄?」
「生い立ちがどうだとか、性格がどうだとか、そういうやつでしょ。生い立ちも性格も治らないんだから聞いてもしょうがないじゃん」
「そんな……」義雄は絶句した。精神科医にかかるのは生まれて初めてだが、こんなことがあっていいのだろうか。
「それとも、なんか告白したいことある?」
「いいえ」
「だったら、いいじゃん。気にしちゃいけないって思うこと自体気にしてることで、どうせ堂々巡りなのよ」
もしかしたら伊良部は名医なのかもね。自分のことしか考えないんだが、一本筋が通っているし、思ったことは何でも実行に移す行動力。結果オーライなんだし。とにかく笑えるなあ。おススメです!(^O^)