「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜プロレスはショーである…『流血の魔術 最強の演技』

このブログは私の個人のものだけど、ウチ(SA)の会社のブログにも書いています。読んでね。毎週火曜日が私の担当です。(^v^)


SAトレーナーブログ  小野塚:文系?理系?
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流血の魔術 最強の演技 (講談社+α文庫)

流血の魔術 最強の演技 (講談社+α文庫)

八百長問題で日本相撲協会が揺れているよね。(>_<) でもきっとこの問題はいい方向に行くと思う。なぜなら、放駒理事長の現役時代の四股名が、「魁傑」だから!!!(^^ゞ


さて、この本は、すごいよ〜!日本にプロレスが誕生して以来の最大にして最後のタブーを激白!!新日本プロレスの名物レフェリー、ミスター高橋の内幕暴露本なのだ! なんとなく気づいていたが、「プロレスは完成されたエンターテインメントなのだ!!」こんなこと書いちゃっていいのか!?そのエッセンスを紹介しよう。



プロレスの星の売り買いはない。真剣勝負だから、売り買いがない、という意味ではない。プロレスは最初から勝負が決まっているショーだから、もとより裏で売り買いなどする必要はないということである。ショーをやっているからといって、プロレスラーが弱いわけではない。むしろ強すぎるがゆえに、ショーを成立させるための暗黙の取り決めが必要になったのだ。より素晴らしいショーを見せるには、それだけの鍛練を積み、強さを身につけておく必要がある。ただ、それは、あくまでもファンを楽しませて、夢と感動を提供するための手段だ。強さは手段であって目的ではない。だから、プロレスはスポーツではなくエンターテインメントなのだ


プロレスの勝負をつくるのは、マッチメイカーとレフェリーの仕事だ。試合をつくるのはあくまでもレスラーだ。といっても絶対的な権限を持っているのはマッチメイカーであり、レフェリーはマッチメイカーの指示に従って。試合をする選手同士の意思疎通をはかる。一日の全試合について、マッチメイカーはカード編成と勝ち負けを決める。どこまで細かく支持するかはケース・バイ・ケースだが、この技で決めろ……とフィニッシュまで独断で決めてしまうこともある。その内容をレフェリーに伝え。レフェリーが両サイドの選手に対して、勝ち役、負け役を伝える。言葉には出さず、勝つレスラーには、「お前がこっち」と親指を上げて合図をする。反対に負けるレスラーには、親指を下げるのが、合図だ。マッチメイカーがレフェリーに指示するのも同じ方法だ。


・プロレスの世界において、マッチメイカーは、どんなスーパースターよりも、あるいは団体の経営者よりも強い立場にある。少なくともリングという現場においては、誰もマッチメイカーに逆らうことはできない。それがこの世界のルールだ。ファンの夢をこわすような言い方かもしれないが、レスラーはエンターテインメントで金を稼いでいるのだ。名誉よりも金、という割り切りがあってこそ生きていけるのだ。


・アマチュアの格闘技界で実績を積み、大きな夢を抱いてプロレスに入る。その結果、なるほど、こういう世界だったのかとわかるときがくる。純粋なセメント(真剣勝負)ではないことは感じていても、この世界に入る前は、業界の仕組みを完全に知っていたわけではないから、ショックや戸惑いもあるかもしれない。しかし、たいていの選手は、金を稼ぐためにはこれだよな、と納得する。純粋な格闘技でメシを食べていけないことは、彼らが誰よりもいちばんよく知っているからだ。


・私はこの本で猪木さんを批判していると思われるだろうが、少なくともプロレスラー猪木について言えば、まったく逆だ。誰よりもプロレスの魅力をリング上で表現できる天才であり努力家、それがアントニオ猪木だったことは間違いない。


・レスラーがほかのレスラーの実力を話題にするとき、「○○は上手いよな」という評価はするが、「○○は強いな」という表現は、まず出てこない。強さはプロとしての力量を測るモノサシではないのだ。強さは価値基準ではないが。強さが必要なことも間違いない。だから、レスラーが強いか弱いかと聞かれれば、全員がものすごく強いとは言わないが、強いレスラーは本当に強い。強いものが強さを競うのが格闘技で、強い者が芝居をするのがプロレス。もしプロレスのルールで、つまり、あれだけファンを楽しませることを意識したスタイルで、なおかつ強さを競い合ったら。確実に死んでしまう。プロレスというのは、それだけでハードは芝居なのだということをわかってほしい。


・どんなレスラーを上手いというかと言えば、第一に挙げられるのは、相手にケガをさせないということだ。それと同時に、自分がケガをすることを恐れないこと。一見、矛盾するようだが、この二つは絶対条件だ。それと、相手を疲れさせない動き。これも重要なポイントだ。それにプラスして、負けることを嫌がらないこと。ベビーフェイスとヒールという互いの役割を理解し、試合をつくる姿勢、これはなくてはならないものだ。


・プロレスに流血はつきものだが、内部では試合で流す血を「ジュース」と呼ぶ。当然、流血は試合の凄みを演出するためのストーリーの一部分である。しかし、試合でやっているように、栓抜きで額を叩いたり、鉄柱にぶつけたりしても、本当はジュースなど出ない。冷静に考えればわかると思うが。タンコブができるだけで、あんなにきれいに血が流れるはずがないのだ。だが。血糊のような嘘をやっているわけではない。レスラーの額から出るジュースは、カミソリの刃でサッと切り裂いて出すものだ。


…すごいなあ…。でもあのモハメド・アリと猪木の異種格闘技はセメントだったという。いろいろな意味で考えさせられる本だ。一読をオススメする。(^^ゞ