- 作者: 小林よしのり
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/03/01
- メディア: 単行本
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BOOK〜『ゴーマニズム宣言 special 天皇論』(小林よしのり)
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20101028
この本は、続編ともいうべきもので昭和天皇にスポットライトを当てている。侍従が「雑草でございます」と言った際に、「雑草という草はない」と話された、いかにも植物学者の昭和天皇らしいエピソードも書かれているが、一番驚いたのは、戦中戦後の話だ。そのエッセンスを紹介しよう。
そこで何が語られたのか。昭和天皇は生涯、口外しなかった。記者会見で質問されても「マッカーサー司令官と当時、内容は外にもらさないと約束しました。男子の一言のごときものであり、それでは世界に信頼に失うことにもなるので話せません」
しかし、マッカーサーは回想録で次のように語っている。
天皇は落ち着きがなく、それまでの幾月かの緊張を、はっきりおもてに現わしていた。天皇の通訳官以外は、全部退席させたあと、私たちは長い迎賓館の端にある暖炉の前にすわった。私はできるだけ天皇のご気分を楽にすることにつとめたが、天皇の感じている屈辱の苦しみが、いかに深いものであるかが、私にはよくわかっていた。私は天皇が、戦争犯罪者として、起訴されないよう、自分の立場を訴えはじめるのではないか、という不安を感じた。連合国の一部、ことにソ連と英国からは、天皇を戦争犯罪者に含めろという声がかなりあがっていた。(中略)しかし、この私の不安は根拠のないものだった。天皇の口から出たのは、次のような言葉だった。
「私は、国民が戦争遂行にあたって政治、軍事両面で行ったすべての決定と行動に対する全責任を負う者として、私自身をあなたの代表する諸国の裁決にゆだねるためにおたずねした。」
昭和天皇が責任逃れをするだろうと見くびっていたマッカーサーは、昭和天皇のこの態度に衝撃を受けた。マッカーサーの側近だったフォービアン・バワーズは会見後の様子をこう証言している。
会談が終わり、陛下の一行をお送りしたあと、元帥に呼ばれて部屋に行くと元帥は本当に感動した様子でぐったりイスにもたれていた。我々が玄関のホールに戻った時、元帥ははた目にみてもわかるほど感動していた。私は、彼が怒り以外の感情を外に出したのを見たことがなかった。その彼が、今ほとんど劇的ともいえる様子で感動していた。
マッカーサーの回想録より。「私は大きい感動にゆすぶられた。死をともなうほどの責任。それも私の知り尽くしている諸事実に照らして、明らかに天皇に帰すべきではない責任を引き受けようとする、この勇気に満ちた態度は私の骨の髄までもゆり動かした。私はその瞬間、私の前にいる天皇が、個人の資格においても、日本の最上の紳士であることを感じとったのである」
ん〜すごいなあ。極限状態になっても国民のことを考えるなんて!(>_<) すごすぎる!
さらに「玉音放送」、「人間宣言」、「戦争責任」などあまりに知らない昭和天皇がココに。日本人なら読んでほしい本です。オススメです。