- 作者: 養老孟司
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/04/10
- メディア: 新書
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ふとしたきっかけで兄の影響を受け、急遽、文系から理系へ進路を変更して、農学部を目指すことになった。結果的には、兄と同じ大学の学部学科に合格したのだが、大学に入学してぶつかったのが理系の「壁」だった。
苦手を克服して、生物、化学は得意までとは言わないが、人並みになったはずだったが、大学の授業はわからないことだらけ…。(^_^;)
さて、この本、解剖学者でもあり、東京大学名誉教授の養老孟司氏の「バカの壁」。名前は聞いたことがあっても、今まで読んだことがなかったので、遅ればせながら読みました。(^。^) 実にオモシロイ!
結論から言うと、我々人間は、自分の脳に入ることしか理解できない。学問が最終的に突き当たる壁は自分の脳であるというもの。この状態を「バカの壁」というのだ。知りたくないことは自主的に情報を遮断し、耳を貸さないというのも「バカの壁」の一種。ここの人間関係のトラブルやコミュニケーションミスが起きているのだろう。そのエッセンスを紹介しよう。
・若い頃に、家庭教師で数学を教えたことがあります。数学くらい、わかる、わからないがはっきりする学問はありません。わかる人でも、あるところまえ進むと、わからなくなります。それを考えれば、誰でも「バカの壁」というものがあるのはわかるはずです。「バカの壁」は誰でもあるのだということを思い出してもらえば、ひょっとすると気が楽になって逆にわかるようになるかもしれません。
・北里大学薬学部の学生に。ある夫婦の妊娠から出産までのドキュメンタリー番組を見せました。女子学生のほとんどは、「大変、勉強になりました。新しい発見がたくさんありました」という感想でした。一方、それに対して、男子学生は皆一様に「こんなことは既に保健の授業で知っているようなことばかりだ」という答え。同じものを見ても正反対といってもよいくらいの違いができてきたのです。それは、与えられた情報に対する姿勢の問題です。つまり、自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている。ここに壁が存在しています。これも一種のバカの壁です。
・モーツアルトは、最初に発表されたときは、これが音楽かという批判もあったそうです。当時としては最先端だったので、すぐに皆に理解されたわけではない。しかし、それは後に西洋音楽の一種のシンボルとなった。基本的には、時間さえたてば、完全に理解されるということでしょう。徐々にか、猛スピードでかはケース・バイ・ケースですが、共有化されていく。
…その他、「わかってるという怖さ」、「知識と常識は違う」、「個性を伸ばせという欺瞞」、「万物流転、情報不変」は、目からウロコだね。めっちゃオモシロイ!( ..)φメモメモ