「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜新しいライフスタイル!…『知的食生活のすすめ』(榊原英資)

知的食生活のすすめ

知的食生活のすすめ

元大蔵省の官僚でミスター円の異名をとった慶応大学教授の榊原英資氏が、書いた食生活の本なので、ありゃ〜!? (?_?) と思いながら読みました。ところが、ところが!!!めっちゃオモシロイ!
栄養学や生物化学的なアプローチではなく、日本の歴史と世界の食文化の違いから私達現代人のあるべき食生活を綴った本。そのエッセンスを紹介しよう。


・この三年ほど、定期的にかなりの運動を続けていますが、目的はエベレストに登ることでも、ホノルルマラソンに出ることでもありません。おいしい食事をいつまでも食べ続けるためです。特に、運動をしたあとのお酒や食事はおいしいものです。


アメリカ人の肥満度と所得の間には明らかに負の相関関係があるようです。つまり、豊かな人種は健康な食事、例えば寿司やニューフレンチ等低カロリーのものを取ることができ、ジム等で頻繁に運動をすることもできるのでしょうが、貧しい人たちは、主としてファストフード、ジャンクフードを食べざるをえず、また運動をする時間もなかなかないという訳なのです。


・私達は今まであまり意識していなかったのですが、日本食、あるいは、日本料理とは一体何なのか。その本質は何処にあるかを、そろそろ真剣に考えるべき時期に来ているのでしょう。食は文化であり、しかも文化の中心でもありますから、そのことはとりも直さず日本文化とは何かを考えることにつながります。
日本という国は大陸緑辺の列島国家であり、四方を海に囲まれ、かつ暖流と寒流が交叉するところにあるなど地理的に極めてユニークなところを持っています。また、国土の六割は森で、水が極めて豊かな土地でもあります。森と水と海。食材ということでも極めて恵まれた環境にあります。また、温帯に属し、四季が明確に区分され、全体としての気候も極めて温暖です。実は、これだけ豊かで恵まれた自然を持っている国は世界広しといえどもそれ程ありません


・こうした豊かな自然が日本の食材の豊かさにつながっていることは言うまでもありません。マグロやカツオなどの回遊魚に加え、タイやアジやサバなど、内海や近海で獲れるものをはじめ魚の種類は極めて豊富です。豊かな森と河川は鮎や岩魚、山女などの淡水魚をもたらしますし、また、ウナギやドジョウなどの素材も提供してくれます。欧米でも北欧の鮭やボストンのロブスター等が有名ですが、日本ほど多様な魚を持ち、食べている国は世界でもほとんど類を見ません。明治に至るまで、野鳥や鴨等意外や肉を食べなかったのも、これだけ豊かな海産物があったことと関係がなかったことはないでしょう。
春の七草やキノコ類など森の恵みも、また、多様です。マツタケ、シイタケ、しめじ、マイタケ、初茸等々、キノコの種類は実に多く、またよく食されています。野菜も、野草が豊かなだけでもなく、様々なものが栽培され、その種類も豊富です。多くの日本人はこの食材の豊かさに必ずしも気づいていないのですが、多くの外国人、特に料理人たちにとってはこれは驚異的です。
どうしてハンバーガーやフライドチキンといったファストフードに日本人の多くが魅せられるのか、筆者は全く理解出来ません。


・食は、また、人間一人一人の生命、生存のために必要であるということだけではなく、古来から人間のコミュニケーションの重要な道具としての役割を果たしてきました。


環境・安全・健康という三つの概念が二十一世紀のキーコンセプトになってきているのですが、この点では、日本料理は、フランス料理、中国料理と比べても圧倒的優位性を持っています。日本の食文化は自然の味を生かし、かつ過度に手を加えません。魚や山菜中心の料理は、肉や濃厚なソースを中心とした料理に比べ、健康という点では、非常に優れています。食文化のみならず、日本文化全体が優れたものだということが出来るのでしょう。


・私達は世界的な日本食ブームの意味をまず理解して、日本全体が、今、世界でどういうポジションにあるかを知るべきではないでしょうか。海と森の国日本は、自然を畏怖し、大切にしてきた伝統を持っていますし、また、豊かな自然の中で、平和で穏やかな国を維持してきました。そして、今、世界全体をそうした平和で穏やかな場所にするために、私達は日本の文化について発信し、世界を変えていかなくてはならないのでしょう。


その他、「米文化と小麦文化」、「だしと香辛料」、「世界史を変えた茶の栽培と貿易」、「コロンブスが変えた世界の食文化」、「アジアの稲作漁撈文明を振り返る」などは、初めて聞く話もあり、たいへん興味深く読みました!オススメです!(^^♪