「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「人間はこんなものを食べてきた 小泉武夫の食文化ワンダーランド」

このブログでも何度かご紹介した東京農業大学名誉教授の小泉武夫センセイ。(・o・)!自らを「味覚人」飛行物体と呼び、日本のみならず世界中の美味しいもの、マズイものを食べ歩いているのだ。


さてこの本。「人類の誕生時から現代まで、人間は何を食べてきたのか?火や道具による調理法の発達、微生物の利用に見る食の知恵、民族ごとの食文化の違いなどなど、目から鱗の落ちる話満載。小泉先生とたどるおもしろ食文化史!」そのエッセンスを紹介しよう。


・地球上に生命が誕生した36億年前を1月1日とすると、人間が出てきたのはだいたい12月31日午後11時57分27秒ぐらい。微生物に比べたら、地球上では人間なんて、ほんとに生まれたばかりの赤ん坊にすぎないのだ。地球上でそんな新しい人間が、食べていくためにいかに努力をしてきたか。手と足と頭を使って、自分たちだけの独自の食の世界をつくりあげてきた。それは人間の英知でもあったので、やがて食の文化につながった。


原始時代の、人間の一歩手前の類人猿が食べていたものでは虫がいちばん多い。カブトムシ、バッタ、タガメ、ミツバチ、スズメバチ、シロアリ、セミ、ゴキブリなど。


人間と類人猿のいちばん違うところはなにかといえば、火を使うか使わないかである。ドングリを生で食べたら、人間は消化できないからからなず下痢をする。しかしチンパンジーや野生のサルは火を使わないで、ドングリを生で食べているが、平気だ。これは、人間が加熱されていない生デンプンを消化することができないのに対し、サルやチンパンジーは生デンプンを消化できるという違いである。


古代国家においては料理人というのが非常に重要な意味をもつ。料理人には大変な地位があった。総理大臣のことを宰相ともいうが、「宰」とは料理人という意味。中国の古代国家において宰人はすぐ下の地位にあって、重要な会議の席で、宰人はみなの顔を見ている。そしてあいつは脾臓が悪いな、こいつは肝臓が悪いなということを見抜いて、例えば豚の丸焼き一匹を30人ぐらいの出席者に出すとき、各人の体調に合わせて部位を切り分け与えたという。しかも驚くべきことに、切り分けられた肉や内臓の分量はすべて同じになっていたという。だから不平・不満が出ない。つまり宰相は、医者であり、名調理人でもあった。さらに、心理学者でもあり、哲学者でもあるというように、6つか7つの仕事を引き受けていたというわけだ。つまり総理大臣のことを「宰相」と呼ぶのは、宰人はこの例のようにどんな人間にも平等に富を与えることができなければならないので、国民に対して平等に富を与えてやる人を宰相と呼ぶに至ったそうである。


その他、「発酵は食の歴史を変えた」「調理と料理」「好き嫌いはどうして決まる」「食文化と酒」「食の作法とは」「日本食文化の特長」「民族による食文化の違い」「21世紀の食をめぐる諸問題」など。


やっぱり「食」って大事だよねー!食の歴史ってオモシロイよねー。オススメです。(・o・)