私が人生の中で最も数多く繰り返し反復して読んだ漫画は、おそらくこれ、ちばあきお氏の「キャプテン」とその続編の「プレイボール」。大好きだったねえ!全巻揃えていたからね。今も実家にはあると思う。私と同世代の男性はほとんど読んだと思う。この作品で野球好きになった人も多いんじゃないかな。あのイチローも読んでいたというからね。(゜o゜)
ふっと品川図書館の蔵書を検索してきたら、ナント文庫本で所蔵しているじゃあーりませんか!(チャーリー浜ふうに)
描かれたのが1970代という時代もあるのだろう。ちばあきお氏のこの漫画には、スーパースターも天才児も出てこない。可愛いヒロインも色恋沙汰もない。平均平凡な部員、しかし、みな個性的なのだ。素朴なタッチ。お世辞にも上手いとはいえないのかもしれない。実兄のちばてつや氏とは違う画風。しかし、じわじわとしみわたるような、備長炭のような感動はなんだ!?
野球がうまくなるためにに、試合に勝つために、ただひたすら努力する野球部員!そしてそれをひっぱるキャプテンの人間模様を描いた作品だ。今、1巻と2巻を読んでいるけど、個人的には、谷口くんがいいよね〜!再読したらまた感動と、小中学校で野球に打ち込んでいた野球少年だった頃を思い出したよ。そのストーリーを紹介しよう。
墨谷二中に転校生・谷口タカオ(二年生)がやってくる。彼は中学野球で全国優勝の常連・青葉学院の野球部だった。しかし二軍のしかも球拾いだったのだ。この野球部なら、下手くそな自分でも楽しく野球ができるかもしれない、という動機で野球部に入部する。しかし、墨二の部員は、青葉のサードのレギュラーだったと勘違いしてしまう。そしてたまたま打った暴投のボールがホームランになってしまい、「我がチームの救世主だ!」と谷口に期待する。しかし、その後、打てない、守れない、エラーの連続…、本当に青葉のレギュラーだったのか…。(>_<)部員の失望と蔑み…。 こうなったら、野球がうまくなるしかない!と父二人でと夜の神社で必死の特訓が始まるのだ!朝に、晩に、それこそ寝る間を惜しんで…。ボロボロになりながら、傷だらけになりながら、特訓は続く…。
父 「だいじょうぶか タカ?いくらなんだってちょっと むちゃしすぎじゃねえか」
谷口 「お…おれみたいに素質も才能もないものはこうやるしか方法はないんだ」
そして月日は流れ、三年生は卒業を迎え、キャプテンが新メンバーを発表する。そこには「四番サード 谷口タカオ」そして「キャプテン」の文字が!
谷口「ぼ、ぼくにはキャプテンをやる資格などありません。ぼくは青葉の野球部では補欠だったんです。そ…それも二軍の…」
前キャプテン「そんなことぐらい おまえが入部した時のプレイを見て ひと目でわかった」
「え…」
「いまや おまえには実力があるじゃないか」
「実力…?まってください ぼくは誤解から青葉のレギュラーとして 期待されました。いまはその期待をうらぎらないよう努力することで精いっぱいなんです。そ…それをキャプテンだなんて…重大な…」
「おまえは その期待にりっぱにこたえたじゃないか かげの努力でな!」
「え…」
「そして いまやおまえは青葉のレギュラーにもまけないほどの実力をつけた。どうだ こんどはキャプテンとしてみんなの期待にこたえてくれんか」
…クウ〜!!!何度読み返しても、泣けるっ!!!(ToT)/~~~ そう、谷口は陰ながらの努力を繰り返して、いまや立派な実力を身につけていたのだ!そこから、キャプテンとしてチームをリードしていくのだ!
江田川中、金成中を破り、そしてまさか、まさかの古巣・青葉学院との決勝が実現し、猛特訓が始まる。
谷口「青葉のナインとはからだつきからして違うんだ、。二倍も三倍もやらないと負けちゃうよ!」
「ま…負けちゃうって…勝つつもりなんですか…?」
「なんだ おまえ負けるつもりで練習してたのか?」
「え…?い…いやそういうわけじゃ…」
谷口くんの謙虚さ、ガッツと根性、粘り、さわやかなリーダシップ、絶対にあきらめない精神力、努力すること…、数多くをこの漫画から学んだ。ちばあきお氏は41歳で他界したのが、なんとも惜しまれる…。名作だね。全巻読まずにいられない!谷口くんから学ぼう!おススメです!
PS 3年前に実写化されました。この映画もよかったよ!(^<^)
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2008/02/20
- メディア: DVD
ちばあきお OFFICIAL WEB SITE
http://www.chibaakio.jp/
2020.1月 再読
(酒見健一)「『キャプテン』(及び『プレイボール』)を一言で言うならば、「“努力”というものを描き切った傑作である」とまず言っておきたい。努力偏重であり、極端な努力の果てに結果として勝利は付いてくる。この作品にはスーパースターも天才児も出てこない。ただひたすら努力する野球部員が淡々と描かれるだけである。これほど練習ばかりしているマンガは他には見当たらない。練習と試合を繰り返す野球部員の描写も、決してロボット的にはなっていず、各々の個性が見事に浮き彫りになっているが、それ故にこそ言いたいくらい面白い。ここにちばあきおの非凡な手腕を見るのである。こんな作家は今はいない。