- 作者: 佐藤正明
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/06/10
- メディア: 文庫
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その昔、ビデオレンタル屋さんには、VHSとベータがそれぞれ二種類あったのだから。懐かしい…。なにしろ、社会人になって10万以上するハイファイビデオを買うのが夢だったからね〜。…「ハイファイビデオ」…この言葉も死語だね…。
西田敏行主演で映画化されたこの本は、ビジネス本の中でトップクラスの面白さだ。映像メディアの世紀二十世紀最後にして最大の家電商品・ホームビデオ。日本ビクターはなぜVHSを世界規格にできたのか?それは、「ミスターVHS」と呼ばれた日本ビクターの高野鎭雄という一人の男の信念が、技術者集団を引っ張り、井深大、盛田昭夫率いる巨人・ソニーとの死闘を制し、ついに世界を相手にひとつの時代の幕を開いたのだ!
(ちなみにVHS=Video Home Systemの略)
「VHS」は日本人が初めて生み出した世界規格。その快挙は、当時業界8位の中堅家電メーカー・日本ビクターの窓際技術者たちの「意地」の成果だった。 昭和45年、日本ビクターはビデオ事業に乗り出したが、赤字続きだった。その事業部長に就任したのが、高野鎭雄(47歳)だった。高野は、家庭用VTRの決定版を作れないかという夢をかなえるため、わずか3人の技術者で極秘プロジェクトを結成した。本社の合理化方針のなか、プロジェクトを守り続け、6年の努力の末、「VHS」の開発に成功した。
そして高野は、経営の神様・松下幸之助氏に直談判して協力を勝ち取り、「VHS」の技術を国内外のメーカーに無条件で公開する。自社の利益を度外視したこの戦略が、先行のソニー・ベータマックスを大逆転し、「VHS」を世界標準規格に押し上げるに至った。短期利益を重視せざるを得ない会社の壁と闘い続け、世界規格を作り上げた「VHS開発プロジェクト」の執念のドラマの全貌がここに!
高野はいう、「夢中でしたね。夢中っていうのは大変すばらしいことだと思う。それを紙様が、私の回りにこんなにもすばらしい人たちを置いて下さったからです。ぜひ皆さんも何でもいいから夢中になって下さい」
結論から言うと、VHSは、メカニズムが簡単で作りやすい。コスト、将来の普及を重点を置いていた。ソニーのベータは、最初に理念があった。カセットサイズ、画質、「ソニー・スピリッツ」が根底にあった。ベータが負けた最大の根本原因は、基本録画時間を60分に設定したこと。(VHSは映画の録画を前提に最初から120分だった)それが井深大の発案だけに多少疑問に思っても誰も口に出すことはできなかったこと。ソニー首脳陣はベータに絶対的な自信を持っていた、時間がユーザーの希望を満たせないことが分かると、一時間と二時間の切り替え、規格変更で互換性を失った。一方、VHSは多機能化、小型軽量化、カメラ一体型、ハイファイ化をしたが規格をいじらなかった。VHSは娯楽性とメディア性を両立させ、ベータは娯楽第一主義だったことが上げられる。
私たちの便利で快適な生活の影には数知れぬ多くの人の努力があるんだね。お世辞抜きで感動!オススメ!(>_<)
※ プロジェクトXでも紹介されたね。こっちもいいよお!
プロジェクトX 挑戦者たち 第2巻 窓際族が世界規格を作った VHS・執念の逆転劇[VHS]
- 出版社/メーカー: NHKソフトウェア
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- メディア: VHS
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