「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「全裸監督 村西とおる伝」(本橋信宏)


全裸監督 村西とおる伝


いや〜スゴイ本だ……今年のベスト3は間違いなし!700ページ超なので一週間かかったけど、ジェットコースターみたいな波乱万丈の人生。「事実は小説よりも奇なり」だねえ。ナイスですねえ。(笑)


人生、死んでしまいたいときには下を見ろ!おれがいる。 前科7犯。借金50億。米国司法当局から懲役370年求刑。奇跡の男か、稀代の大ボラ吹きか。“AVの帝王"と呼ばれた裸の男・村西とおるの半生」そのエッセンスを紹介しよう。



前科七犯、借金50億円。村西とおること草野博美“AVの帝王”というもうひとつの枕詞とともに、この男の半生はいまも流転しつづけ、多くの人々がスペクタクル映画を観るかのように強い関心をもっている。BVDパンツ一丁で業務用カメラをかつぎ主演女優に向かって「ナイスですね」と賞賛の言葉を甲高く発する姿は、ビートたけし片岡鶴太郎をはじめ多くの著名人によって模倣された。“駅弁”という49番目の体位を考案し、主演女優が感極まったときに笛を吹かせる演出は、人類史上初めてアダルトビデオという世界でエロをパフォーマンスとして昇華させた


英語教材セールス売上日本一ビニ本裏本製造販売で全国指名手配されながら巨万の富を築き上げる。ハワイで撮影中にFBI合同捜査チームに逮捕されると懲役370年を求刑され長期間抑留された。顔面シャワーという過激な本番路線を樹立させた。AV業界の秩序を破壊し、女優へのギャラを高騰させた。なんで人間は寝なきゃいけないんだと睡眠を拒否しながら社屋に寝泊まりして働きづくめだった。AVという存在を世間に知らしめ年商100億のAV王国をつくった。ジャニーズ事務所に喧嘩を売り、元フォーリーブス北公次復帰に手を貸した。事業拡大化に失敗し、50億円の負債を一身に背負い、闇社会から過酷な取り立てを受けてきた。無一文になりながら美貌の元専属AV女優と再婚した。お受験界の最難関小学校に長男は合格させた。そのどれもが事実である。いったい村西とおるとは何者なのか?


村西とおるは、目の前にあるどんな物、グラスでもお手ふきでもゴミ箱でも道に転がっている石ころでも、なんでも売ってみせる自信があった。エンサイクロペディア全30巻、総額20万円(現代の貨幣価値で100万円)という、もっともやっかいな代物を村西とおるはいとも簡単に売りまくった。すさまじい威力を発揮した村西流応酬話法は、この後あらゆる場面で放たれて絶大な成功をもたらすことになる。


・非合法出版物「裏本」を増産するときのプロデューサーとして、相次ぎモデルをキャスティングしたときにも、被写体になるのをためらう彼女たちを口説き落とす際に絶大な威力を発揮した。絶対に脱がないとされた著名人、モデルを、また素人たちを脱がせる際の説得工作にも応酬話法は絶大な威力を発揮した


・「基本的には自分自身が相手を『理解』する能力と、相手を説得する『情熱』さえあればどんな人でも口説けないことはない。後は無限に言葉ってのは生まれてきますよ。その人の為であり、喜んでいただけること、自分だけの利益じゃない、お互いが喜びと感動をシェアできるという確信がなければ、言葉ってのは出てこない。


・過激な内容を売りにする村西とおる監督作品に、なぜ上質の女たちが相次ぎ出演したのか。その秘密は、村西とおるが打ち明けた応酬話法と自己演出、現金、そしてもっとも重要なポイントは、彼女たちが生きてきた人生の中で目の前の男がこれほど全身全霊で説得してくることなどなかったに違いない。情熱を込めて道を説く男に根負けしたのだ。


・主演女優たちは、最初のうちは村西とおるに警戒感をもっているが、奇妙な言葉を投げかけられているうち、村西言語が伝染し、自らも「ナイスすぎる」と答えてしまう。村西言語帝国の完全支配下におかれた女たちは自身の言語も破壊され、村西王国の住人になってしまうのであった。


・村西監督がいかに規格外の人物なのか。

1 たった一年半の間に71本もの作品を撮ってしまったこと。

2 村西とおる自らベーカム・カメラをかついで撮ること。

3 その大半の作品の脚本も彼が書いていること。

4 それは男優もこなしていること。

5 それは大半の作品のタイトル名をつけてしまうこと。ユニークなタイトル。たとえば『お口がいっぱい』『あそこがいっぱい』『かけてお願い!』『そこには入れないで……』


私は「ビデオ業界のマルコス大統領」「ポルノ界の徳田虎雄」「業界のカダフィ大佐とあだ名をつけている。


村西とおるはセックスという世界に、初めて笑いを持ち込んだ人類史上初の男となった。重苦しく生真面目だったアダルトビデオの世界に突如降って湧いた道化者となった。


イエローキャブ野田義治「AVでこれだけ知らしめたのは村西とおる。だから業界がいまもある。AV業界はもっと感謝すべきだねあの人に。あのおっさんは「エロが空から降ってくる」なんて言って、何言ってるんだと思ったけどそれが現実になったでしょう。あの人天才だから、発想力とかすごいからね。でも金正恩みたいだったから、スタッフも従うしかない、意見を言える人になんていなかった。おれはあの人に恩義があるんだ。おれ自身もどん底味わったから。そんなときに仕事を与えてくれた恩人だから」


特に「1億円ー村西とおるが部下たちと台湾で2週間豪遊したときの総額」「8000万円ー村西とおるの眼球毛細血管が破裂して血の涙を流して借りた金」は壮絶だ。


女優を口説くクロージングトークと「応酬話法」は営業マン必読です。超オススメです。(╹◡╹)



全裸監督 村西とおる伝