「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜北朝鮮の衝撃!…『収容所に生まれた僕は愛を知らない』

収容所に生まれた僕は愛を知らない

収容所に生まれた僕は愛を知らない

この本は読まないほうがいい…。オススメしない…。(>_<) 私が今まで読んだ本の中で最も絶望的な、衝撃的な内容で、読んでも全くハッピーにもならないからだ。(^_^;)


 北朝鮮政治犯強制収容所の完全統制区域に生まれ、そのまま23歳まで奴隷同然に生きてきた青年が、命がけで脱北するまでの衝撃の告白が綴られている。実際に体験したものでしか語れない生々しさだ。


生まれながらにして政治犯であった著者は、金日成金正日が誰なのかも知らずに、24年間を収容所の中で暮らした。ほとんどの人がなぜ収容所に入れられたのかも知らず、ただ親と先祖が罪を犯したのでその罪を償うために一生懸命働かなければならないという考えだけを持って生きている


奴隷同然の過酷な労働、理不尽な虐待。カレンダーさえもない。管理所の親たちは、子どもたちに特別な愛情を感じることも出来ず、子どものほとんどが親からの愛情をもらえずに育つ。一生懸命働くと表彰結婚があるのだが、相手は保衛員先生の気分で決定される。仲間同士でもお互いがお互いを監視する体制の中で友達という概念すらなかった。


人間は人間として生まれたから人間なのではない。人間は与えられた環境は教育によって人間になるということだろう。


著者は、収容所にいたことは、「愛する、優しい、可愛らしい、幸福、楽観的、純粋、嬉しい、楽しい、感激」「絶望的、抵抗、くやしい、不幸、苦痛」という言葉も概念も、いっさい存在しなかった。
また、「お元気でしたか、ごめんなさい、また会いましょう」という挨拶も、「洋服、寝巻き、歯磨き、歯ブラシ、髭剃り、シャンプー、写真、傘、長靴、コップ」という日用品の言葉も知らなかった。


内容は「収容所の暮らし」「収容所内の学校生活」「過酷な強制労働と犠牲者たち」「秘密監獄での拷問」「母と兄の公開処刑」「収容所からの脱出」「収容者たちの人権意識の回復を祈って」などが淡々と綴られている。


平成のこの日本に生きている私たちがいかに恵まれているか、北朝鮮ではいかに非人間的な理不尽な扱いをされ生命が粗末にされているか、憤りを感じずにはいられない。