「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜男とは?女とは?…『片想い』(東野圭吾)

片想い

片想い

先日このブログで紹介した、新幹線ガールがテレビ放映されます。本日7月4日(水)日本テレビで21:00〜22:48 『夏ドラ!スペシャル 新幹線ガール。よろしければ見てね。(^^♪ http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20070701


さて、またまた東野圭吾。(^^♪『片想い』というタイトルなので、恋愛小説?と思ったのだが、実は恋愛あり、サスペンスあり、社会問題ありという実に複雑な構成。これこそ、東野圭吾の独壇場といったところだろう。


大学時代のアメフト部のQB(クォーターバック)の西脇哲朗と十年ぶりに再会した美月は、なんと男の姿をしていた!?実は、彼女と哲朗とは、学生時代にHもしたことのある関係だったのだが、性同一性障害でカラダは女性なのだが、心は男だったという。大学時代まで女として生活し、結婚までして子供まで授かったのだが、やはり自分の肉体に違和感を感じ家を飛び出したのだった。(^_^;)


そして美月から、人を殺したと告白される。哲朗は、美月の親友である妻・理沙子とともに、彼女をかくまうが…。実は、美月は、学生時代から理沙子のことが好きだったのだという。そして自分の男としての理想は、哲朗だった。哲朗のようになりたいと思っていた。しかしカラダは女…。同じマンションで3人の複雑な生活が始まる。

男とは?女とは?同性愛とは?そして性同一性障害とは?というテーマと殺人事件とがミックスされて息もつけぬ展開が面白い!深く考えさせられる。そして読み終わった後に、タイトル『片想い』の意味が思い知らされる。この言葉が印象的だ。

「ふつうの一枚の紙ならば、裏はどこまでいっても裏だし、表は永久に表です。両者が出会うことはない。でもメビウスの帯ならば、表だと思って進んでいったら、いつの間にか裏に回っているということになる。つまり両者は繋がっているんです。この世のすべての人は、このメビウスの帯の上にいる。完全な男はいないし、完全な女もいない。またそれぞれの人が持つ メビウスの帯は一本じゃない。有る部分は男性的だけど、別の部分は女性的というのがふつうの人間なんです。あなたの中にだって、 女性的な部分がいくつもあるはずです。トランスジェンダーといっても一様じゃない。トランスセクシャルといっても、いろいろいます。この世に同じ人間などいないんです。」


今は、この問題に関しての関心も高いが、東野圭吾の先見性に驚く。彼の傑作のひとつだろう。