- 作者: 松井浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/04/27
- メディア: 新書
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彼は打撃の神髄に至るまでの超人的な努力をしながら、変人、奇人と言われて、とくに晩年はベンチで座禅をするなど奇行が多かった。そしてその天才の理論は所詮凡人の選手には伝わらなかったようだ。初めて「安打製造機」と呼ばれ、通算2314安打を打ちながら、名球界のメンバーにもならず、監督はもちろんコーチにもならず球界から忽然と姿を消した…。
世界の王貞治を育てた荒川博氏は、『バッターとしての完成度は王より榎本の方が上』と言い。打撃の神様・川上哲治氏は『長嶋を超える唯一の天才』と評す。鉄腕・稲尾和久氏は榎本を打ち取るためだけにフォークボールをマスター。『自分が対戦した中で榎本さんは最高にして最強のバッター』と公言しているのに…。
「土踏まずから足の付け根までの内側に、ユニフォームの縫い目にそって1本のラインを意識してた」
「臍下丹田に自分のバッティングフォームが映るようになると、ピッチャーとのタイミングがなくなってしまった。…最初からないから、タイミングが狂わなくなったですね」
「どこに打ってもヒットになるや」と神様に頭をなでられた試合が11試合続いた…。など読み応え十分!
名選手は、必ずしも名監督や名コーチではない、を地でいく選手なのかもしれない。もし、榎本が自分のスキルをテクノロジー化して、自分のコピーが出来、自分の右腕を育てることが出来たとしたら?そしてそれを教える指導者としてのコミュニケーションスキルがあったとしたら?
ひょっとしたら日本の野球界のレベルが変っていたのかもしれない。
それにしても彼の孤高の姿にはなぜか憧れるのだ。何よりもこの本の表紙の彼のバッティングフォームの美しさ!現役時代を見たかったな〜!私たちが超一流のイチローを見ることが出来、同じ時代を生きているってなんてラッキーなんだろう!